Ride on a ちゃり

パワー不足のエンジン搭載ロードバイクの走行記録

林道滝沢線で吉田口5合目へ

夏休み前半に曇り空で涼しかったので三浦半島を一周しましたが、なんとなく物足りません。しかし、週末ですので、迂闊な場所へ行くと交通渋滞にはまりそうです。手軽に行けて、且つ涼しいという条件で行き先を探しますが、なかなか良いところが見つからず、山中湖周辺でブラブラするしかないかと諦めかけた時、そういえば富士山周辺にも林道があることを思い出しました。そこでWebで先人の記録を調べてみると、

林道滝沢線:富士山五合目へ至る富士スバルラインに並走する全面舗装路

え、スバルライン、スカイライン、あざみライン以外にも五合目へ行く道があるの?

面白そうじゃありませんか!目的地決定です。

山梨県のサイトに掲載されている林道マップ(ランドマークを加筆)にルートの詳細が記載されていました。三合目相当の1,825mにゲートが設けられていて、そこから先は自然保護の観点から通年車両通行止めのようですが、道は五合目まで続いています。自転車はどうなの?と思いましたが、現地へ行って判断することにしました。

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7:30@富士北麓公園駐車場に到着。夏休みの週末、早朝にもかかわらず東名高速の交通量は多めです。御殿場ICを降りた時には富士山がくっきりと見えていましたが、この時点ですでに雲がかかり始めています。

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支度に取り掛かりますが、八ヶ岳での虫の攻撃の教訓から、アンダーに長袖とタイツを着用して肌の露出を最小化、加えて一段階強い虫除けスプレーを入手し、出発前に全身にたっぷり散布しました。気温は20℃ですが、さすがと長袖&タイツでは蒸し暑いです。

7:53@北麓公園を出発。県道701号線のまっすぐな坂道に歓迎されます。昨夜雨が降ったようで、路面はウェットでした。ウォームアップなしで、いきなりの斜度7%、体がうまく反応しません。それでも北麓公園スタートなので、富士浅間神社のところから登るよりもかなりのショートカットです。

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県道701号線のどん詰まりが中の茶屋でした。

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中の茶屋の奥には、富士吉田口登山道がありました。

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滝沢林道起点はここから、8:10@アタック開始です。

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自衛隊の北富士演習場に沿って、直線的な平均7%くらいの登りが続きます。まだ汗の量が不足、脚がスムーズには廻らず苦戦します。しかし、路面状況は良好で、高い木々が日差しを遮ってくれる夏向きの道です。

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監視所の横を通過します。電光掲示板には、

実弾射撃実施中

と表示されていて、遠くからドーン、とか、パチパチという音が聞こえてきました。「流れ弾」という単語が脳裏を過ぎります。

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監視所を過ぎると斜度5,6%の部分が多くなり、ぐっと楽になりました。

8:44@馬返しへの分岐の表示、すぐ先に林道侭下(ママシタ)線がありました。今回唯一、ゲートが開いていた併設林道です。ここで下って来る自転車と初めてすれ違いました。

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直線的だった道が、曲線を描き始めます。それにしても静かです。音は鳥とセミの鳴き声だけです。車は10分に一台通過するかどうかで、道の真ん中をゆっくり進んでいてもなんの問題もありませんでした。バスのエンジン音に怯え、排気ガスを浴びながら登るスバルラインとは雲泥の差、ストレスフリーです。それにしても、この先はゲートで行き止まりのはずです。登って行く車はどうするのでしょうか?

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9:05@小侭橋を通過。虫は走っている限りは気にならないレベルですが、撮影のために停止するとすぐに寄ってきます。

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北富士演習場内へ伸びる林道鷹丸尾線。当然ながら一般通行止めです。

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木製のガードレール。この林道には、橋梁部分を除いて普通の白いガードレールはありませんでした。法面もコンクリート打ちっぱなしではなく、木製のパネルで覆われており、ワンランク上の仕様で作られています。大弛峠への道や瑞牆山へ行く本谷川渓谷もこんな感じですね。

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新屋山神社奥宮を通過すると林道小富士線の分岐があります。

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林道細尾野線の起点。演習場とは反対方向へ伸びているため、ゲートの作りが緩いです。標高の表示がない林道のためどのくらい登ってきたのかがわかりませんが、長袖&タイツでも暑さを感じない高度になっています。

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緑の中をスーッと伸びる道、それにしても素晴らしい路面です。重かった脚も軽く廻ります。

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9:39@伐採地が現れ、初めて下の景色を見ることができました。ただ見えているのがどの辺りの街並みかさっぱりわかりません。

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9:51@標高1,825m(三合目相当)のゲートに到着。ゲート手前には、車が10台ほど駐車していました。ここにベースにして富士登山するようです。ゲートの右側にスペースがあり、自転車を担いで通過することができました。行けるところまで行って見ましょう。

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スタートしてから2時間、ここでエネルギー補給します。その前に全身に防虫スプレーを散布、これで落ち着いて補給ができました。

10:05@ここからは自己責任で進みます。写真を撮って出発準備をしていると一瞬であたりが真っ白になりました。雲の中を走って行くことになります。

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斜度が一段階アップして、平均斜度8%位になります。随所で10%、11%も現れますが、甘利山のように15%で息の根を止めに来ることはなく、心拍数も150台で推移しました。ただ写真を取るためにストップする余裕はなくなり、ここからの写真は帰路に撮影したものです。

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いつ落ちてきてもおかしくない巨岩や溶岩ゴロゴロの沢筋など、三合目までよりも風景に変化があります。

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後ろから物音がするので、振り向くと自転車がやって来ました。地元の方で、しばし並走しながら(もちろん相手の方がゆっくり走ってくれました)このルートについて教えていただき、

  • 五合目の佐藤小屋まで行けること
  • その先はダートで、歩けばスバルラインの五合目までも行けること
  • 終盤の路面は落石で荒れている箇所があること
  • 鹿の飛び出しには注意

などの情報を入手しました。

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ちょっと雰囲気のあるコーナーが現れます。奥には砂防ダムがありました。

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コーナを見下ろすように立っている木の姿が美しく、とても印象的でした。

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さすがと疲れて来たところで、ドーンとストレートの登りが出現し、精神的にダメージを負います。時速も5km台に低下して来ました。

休憩しない?

いやいやもうすぐゴールだ!

といういつもの鬩ぎ合いが始まります。

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小石の浮いた路面区間が現れ始めました。落石ではなく雨で小粒の溶岩が流されてきたと思われます。この上を走るとかなりスリップするので要注意です。この辺りから登山道とクロスしていて、登山者の姿を見かけるようになります。

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10:56@佐藤小屋直下にある五合目ゲートに到着しました。休憩込みでほぼ3時間、相変わらずの驚異的な遅さです。

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クロスする登山道に五合目(2,305m)の標識がひっそりとありました。

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登山ルートの掲示板では、ここから40分ほどでスバルラインの五合目です。ゲートの先を少し偵察して見ると、まだ舗装路が続いていましたが、路面はガタガタでした。

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標高2,305mからのダウンヒルはさすがと寒く、ウィンドブレーカを着用し、写真を取りながらのんびりと下りました。

一番たくさん見かけた花が、ピンク色のシモツケソウと薄紫色のホタルブクロでした。多くの虫達がこれらの花に集まっていました。アザミもたくさん見かけましたが、まだ、青い蕾の状態でした。

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そして、素敵な蝶とも出会いました。アサギマダラです。なんとこの蝶は長距離移動します。夏場の暑い時期には標高1,000m以上の高地で見られ、秋になると移動を開始し、南西諸島、台湾、中国本土まで移動するとのことです。アサギマダラが留まっている白い花はフジバカマで、この蝶に必要な成分の供給源であり、この花のあるところに多く集まります。

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ダウンヒルの途中で自転車2台とすれ違いました。コースの素晴らしさを考えると非常に少ない気がします。車は、どうやら富士登山のスケジュールに同期していて、朝(日帰り)と12時(山小屋宿泊)のあたりに動きがあるようです。

ダウンヒルを終え中の茶屋で吉田うどんの昼食を取り、13:00@北麓駐車場に戻ってきました。もう一つ面白そうな林道富士線のルートマップも用意していたのですが、帰りの混雑が予想されるため早めに帰宅することにしました。

今回、富士山は雲の中で絶景はゼロでしたが、ストレスフリーにヒルクライムを楽しめる林道滝沢線は、富士山五合目ルートでは私のベストです。

走行距離:38.3km、獲得標高:1,185m、消費エネルギー:1,416kcal

 

追記:

2018年に2回、滝沢林道を走りましたが、なかなかの曲者であることがわかりました。特に大雨の後は大量の土砂が流出して、想像以上の悪路となりますのでご注意ください。きわめつけは、こんな世界となります。

saetta0404.hatenablog.com