涼を求め天空の地へ(前半戦)
白馬村から横浜へ戻ってみると、高温注意報が発令される毎日です。日中の走行は、私にはとても耐えられませんので、早朝ライドに切り替えるのが無難な選択です。とは言え、夏休みと言うこともあり、もう少し冒険したい気分です。そこで涼を求めて標高2,000mオーバーの天空の地を目指すことにしました。
自宅から最も近い天空の地である富士山五合目は、6月に訪問済です。野麦峠、渋峠、乗鞍と有名どころは、いささか遠い。となると残るは、、、自動車が通行できる日本最高所の峠、そうです、あそこです。
大弛峠(2,360m)
しかし、大弛峠と言えば、有名ブログで【血の味レベル:29】と最難関に認定された峠です。そんな峠に、私の実力で太刀打ちできるのでしょうか?
ともかく先人のブログから情報を収集し、攻略作戦を練りました。といっても、極々普通のことしか思い浮かびませんでしたが、
- スタート地点を塩山駅ではなく道の駅「まきおか」とする。これで、標高差で130mほど楽になります。
- 暑さによるオーバーヒート、体力消耗を防ぐため、気温が上昇する前に標高1,000mに到達する。また、ボトル以外に1,000ml分の補給水を持って走る。
- 30kmの長丁場となるので、脚に負担のかからないギア選択を心がける。
- 撮影ポイントを発見したら躊躇せずに止まって撮影&プチ休憩。このとき、忘れずに給水する。
- 柳平から2kmが最難関の勝負ポイントとなる。中間点の柳平では、焦らずたっぷり休憩する。
- 消耗戦となることを覚悟し、ラスト6kmあたりからは、脚の具合と相談しながら距離を刻んで行く。
- 夏場は、あぶ、ぶよ等の虫対策が必要。虫除けスプレーを持って走る。
距離と標高差は、御殿場から富士五合目と同程度のスペックです。50%くらいは可能性がありそうなので、やるだけやってみましょう。
8月5日の土曜日、午前3:00に起床し、4:00に出発しました。高尾ICから圏央道、中央道と順調に走ります。皆さん夏休でしょうか、中央道はこの時間にしては交通量が多い気がします。中央道を勝沼ICで降りて、6:30に本日のベースキャンプとなる道の駅「まきおか」に到着しました。
自転車を組み立て、日焼け止めクリームを塗り、全身に虫除けスプレーを浴びて、7:00にスタート。この時点で真夏の太陽がやる気満々で顔を出し、汗が噴き出します。
多くのブログに「嫌になる!」とコメントされている、ぶどう畑沿いに延々と続く直線的な登り坂、覚悟はしていましたが堪えます。斜度は8〜9%ですが、ウォームアップの平坦区間なしでヒルクライムを開始しており、ペースが掴めません。何よりも日差しを遮るものがなく、オーバーヒートのリスクがジワジワ高まっていきます。
追い討ちをかけるように、神社の赤い鳥居を過ぎた辺りから杣口浄水場までは、10%超区間となります。傾斜と日差しのダブルパンチ、
真夏にこんなところに来るんじゃなかった!
と愚痴が溢れます。
7:28、前方にようやく木陰が見えてきました。砂漠でオアシスを発見したような気分です。森林区間に入ると体感温度がグッと下がり、エンジンをクールダウン。オーバーヒートを免れました。
斜度が緩む訳ではなく、再び10%超区間が現れますが、日差しがないので文句は言いません。黙々とペダルを廻しました。
「こ?」、いろは坂のような文字の看板が出現。この後「と」「が」「わ」「ダ」「ム」と5文字の看板が現れます。最後の「ム」は、琴川ダムまで2km地点でした。
この看板を過ぎた辺りから傾斜は少し緩み、かつ、体もコースに順応して、だいぶ楽になります。心拍数も150以内に収まってきました。
8:15、巨木が目を引く杣口のサワラ林を通過。路面も良く、車やバイクもほとんど通りません。森の静けさの中、いつもの楽しい林道ヒルクライムとなってきました。
8:40、前方の山肌に白いガードレールが見えてきました。日差しは少し暑いくらいで気になりません。標高1,000mを突破した感じです。
9:03、前半戦の最高地点、鳥居峠に到着。前方が大きく開けて、峠らしい景色です。
眼下には琴川ダムが見えました。標高1,450m、日本一標高の高いところに造られた多目的ダムだそうです。
ほぼ無風、静かな湖面に周囲の山や白い雲が映り込み、期待以上の眺めでした。
休憩ポイントの柳平へ往路で唯一のダウンヒルでしたが、下った分をすぐに10%超で登り返します。
9:12、柳平に到着。クリスタルラインとはここで分岐します。ちょうど登山客を乗せたバスが到着しました。ここから先、大型車両は進入禁止で、登山者の皆さんはワンボックスのタクシーに乗り換えて大弛峠へ向かいました。
前半戦は、ここで終了です。後半戦に備えて、休校となっている小学校分校の木陰で休憩しました。防虫スプレーの効果でしょうか、ときどき虫は来ますが、まとわりつくことはありませんでした。
ここまでの走行距離は、14.6km、ちょうど中間点です。念のために、防虫スプレーを追加散布しました。
<後半戦へ続く>