Ride on a ちゃり

パワー不足のエンジン搭載ロードバイクの走行記録

天空のダートを目指して:チェリーパークラインはメチャキツかった!

酷暑の夏の8月最後の週末、再訪しなければならないと思っていた場所へと向かいました。目的地は、天空のダート「湯の丸高峰林道」です。2年前にコマクサ峠(標高2,040m)を訪れたのですが、その際には、湯の丸高峰林道を目前にして撤退しています。久しぶりにタイヤをグラベルキングへと交換して再チャレンジです。

saetta0404.hatenablog.com

前回は、群馬県側から地蔵峠を経てコマクサ峠へと走りましたが、今回は、長野県側からチェリーパークラインで高峰高原まで走るルートを選択しました。毎年、車坂峠(標高1,973m)ヒルクライムが開催されるルートですが、平均斜度8%の厳しさで有名です。敢えてこのルートを選択したのは、かねてから訪れてみたいと考えている毛無峠へ至るルートとスペックが似ているからでもありました。チェリーパークラインが攻略できなければ、毛無峠は無理!という試験を兼ねた今回の遠征です。

ルートを作成するにあたり、スタート地点を何処にするか迷いました。候補となったのは、

  1. 県道79号線(浅間サンライン)の道の駅「雷電くるみの里」:標高690m付近
  2. 小諸市街の懐古園駐車場:標高670m付近
  3. 県道40号線の道の駅「みまき」:標高560m付近

です。当初は、最も標高の高い1.を選択するつもりだったのですが、ちょっとズルしたような気分です。それでは2.かと思いましたが、懐古園からはウォームアップなしでヒルクライムがスタートします。何処か良い場所はないかと探した末、発見したのが3.の道の駅「みまき」でした。小諸の隣の東御市千曲川沿いにある道の駅です。車坂峠までの標高差は最大となり気分もスッキリ、スタートから5km程は千曲川沿いを走るのでウォームアップもOK、おまけに道の駅に日帰り温泉を併設しています。3.で決定しました。

7:25@道の駅「みまき」をスタート。気温は23℃ですが、上空に雲はなく強烈な日差しが降り注いでいます。霞んでいますが、目的地の高峰山を確認できました。このところ標高2,000m付近で急減速しているので、今日は高地順応を兼ねて小まめに休憩を取ることで難敵チェリーパークラインを攻略する作戦で臨みます。

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まずは、千曲川に沿って小諸を目指します。昨年の台風で大規模な水害が発生した千曲川ですが、今日は穏やかです。

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道路沿いの水田では稲穂が頭を垂れ始めていました。梅雨明けが遅れて今年の米はどうなることかと思いましたが、八月の猛暑で挽回したようです。

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7:49@千曲川を対岸に渡ると、小諸市街へ向かって河岸段丘ヒルクライムがスタートしました。それにしても日当たりが良すぎます。一気に汗が噴き出しました。

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8:00@しなの鉄道線のガードを越え、宿場風情のある街並みの中、旧北国街道を上って行きます。

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8:11@国道18号線に出ると「高峰高原16km」の標識。左折した交差点の名前は「坂の上南」です。確かに、”坂の上”、いやいや、私にとっては、”坂の途中”でした。

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8:20@気温はまだ30℃以下ですが、全く日陰のない南斜面をひたすら上り続けます。上信越自動車道(標高800m付近)のガード下は貴重な日陰でした。ここで水分を補給します。スポーツドリンク1リッター、水1リッターの体制ですが、足りるかな?

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8:44@その後も大弛峠での葡萄畑ヒルクライムのような道が延々と続き、そろそろ熱中症がヤバイぞと思っていると、

キタ〜!木陰ゾ〜〜ン!!

地図上では、標高1,000m、豊島岡女子学園小諸林間学校付近です。このラインから先は暑さからは解放されましたが、ここまでのダメージは想定以上でした。この夏一番の汗の量です。

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8:57@斜度が少し緩んだところで作戦通り1回目の休憩。腰を降ろせる場所はないので、立ったままエネルギー補給のおにぎりを頬張っていると、大きめのリュックを背負った自転車が通過して行きました。きっと、高峰高原から登山するのでしょう。この日は、合計四台の自転車に追い抜かれました。このクソ暑い中、チェリーパークラインを上る変人、変態は、やはり少ないです。

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9:22@浅間山登山口分岐を通過すると斜度が一段階アップ。斜度12%ゾーンがしばらく続きます。このルートの最も斜度が厳しい区間に突入しました。

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9:49@12%ゾーンを突破した標高1,400m付近で、ガードレールにもたれて2回目の休憩。本当は、標高1,700m付近で休憩の予定でしたが、12%ゾーンのダメージで前倒しせざるを得ませんでした。斜度的には、この区間が最も厳しかったですが、一番辛かったのはここではないのです。

9:59@伐採斜面に出ました。ようやく眺望が開けると同時に斜度が少し緩みます。時折、山仕事や道路工事の大型車両が通りますが、ヘアピンカーブで心置きなく大回りできるレベルの交通量でした。何よりもバイク軍団がほぼゼロなので精神的に穏やかです。

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10:07@伐採区間最上部まで上ってきました。空気がクリアならば正面に八ヶ岳を望める絶景ポイントのはずですが、夏場は霞んだ景色しか拝めません。

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10:10@車坂林道ゲート(標高1,500m付近)を通過。写真撮影を口実に一息つきます。この場所で登山の人が休憩していて、「お疲れですね。頑張ってください!」と声をかけられます。本人としてはいつもの通りなのですが、側から見ると疲労困憊の様相のようです。

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標高1,700m付近で3回目の休憩。残り距離は3km程です。ここからラストスパート!と行きたいところですが、峠の標高は1,973m、平均斜度9%の3kmがまだ残っているのです。チェリーパークラインの最もツラい部分は、ここからでした。斜度10%を超えるような区間はありませんが、8%から10%の上りが延々と続くのです。

10:54@残り2km地点を通過。前方の斜面上方に白いガードレールが見えてきました。標識の標高から

(1973 - 1792) / 2000 = 0.0905

ゴールまで平均斜度9%が続くことに、ブルーな気分となります。

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11:14@先程下から見上げたガードレールのところまで這い上がってきました。このルートで最も眺めの良い場所のはずですが、霞んでしまって達成感も半減です。クリアな景色を見るためには、紅葉シーズンにチャレンジする必要がありそうです。

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最後のカーブを曲がると、直線的な上り坂の先にゴール地点にある高峰高原ホテルが見えてきました。あと一息。

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11:24@高峰高原ビジターセンターに到着。車坂峠が県境、ビジターセンターの所在は群馬県嬬恋村となります。自転車の車輪が切れてしまった写真の構図が、疲れ具合を表しています。ジャージが汗で重く感じました。ビジターセンター前にはベンチがあり、ここでおにぎりと菓子パンの昼食としました。

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11:51@ビジターセンターの先に今日の目的、天空のダートがありました。固くしまった走り易いダート、舗装路の上に砂利と砂が撒かれているような感じ、故に少しスリッピーです。

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水ノ塔山、東篭ノ登山に向かって、カラマツ林を進みます。苦労した甲斐のある素晴らしい高原の道、チェリーパークラインの疲れも吹き飛びました。

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ダートを1kmほど下ると、ランプの宿「高峰温泉」がありました。駐車場には多数の車、人気の宿です。山小屋風の鄙びた宿を想像していましたが、立派な温泉宿でした。

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12:00@高峰温泉から湯の丸高峰林道がスタート。ここから道幅が狭くなり、路面は、舗装路レベルから明らかな未舗装路へと変化します。路面の凹凸の補修に投入された砂利の量が一気にアップするので、さらにスリッピーになります。

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素晴らしい景色が続きます。反対斜面には、湯の丸高原へ上って行く道のガードレールが見えます。秋には美しいカラマツの黄葉を見ることができる場所です。

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水ノ塔山の直下付近で道は上りへと転じたのですが、ここで問題発生です。路面の凹んだところを砂利が埋めている写真のような場所が随所にあるのですが、こんな場所でペダルを踏み込むと、前輪が突如埋没したり、

ズル、ズルズルルルル

と後輪が空転してバランスを崩します。落とし穴、蟻地獄的なトラップ路面です。転倒リスクを下げるためにフラットペダルが欲しくなりました。

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トラップを回避するために、道幅一杯を利用して右へ左へと走る必要があるのですが、この林道は、車の往来があります。御荷鉾で出会う車はジムニーですが、ここで出会うのは普通の乗用車と未舗装路の運転経験ゼロのドライバー。このため、気儘にジグザグと走るわけにも行きません。結局、斜度のキツイ部分は、半分くらい押して歩きました。

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想定した以上に走り難かった湯の丸高峰林道の路面ですが、全線押して歩いても1時間程度で突破できると思います。歩く装備さえ整っていれば、この林道に突入するのを躊躇する必要はありませんよ〜。

12:40@林道の湯の丸側スタート地点に到着。2年前にはあったコマクサ峠の標識が無くなっていました。富士五合目のように閑散としているわけではなく、人はそこそこいます。が、今年は、いかにも観光バスでやって来ました的な軽装の人の姿はありませんでした。

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12:50@時間に余裕があるので、池の平湿原をブラブラと一周。高山植物は、花のピークを過ぎており、どことなく秋の気配が漂い始めています。

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池の平湿原は、かつては活火山だった三方ヶ峰が活動を休止した後、その火山活動により発生したすり鉢状の地形に枯れた植物や雨、雪解け水が長い時間をかけて蓄積した結果、形成されたと考えられていますが、放開口は、このすり鉢状の地形の縁に当たる外輪山の一部が崩れてできたものです。

放開口からは、佐久盆地一帯を見渡せます。今日のスタートポイントもこの何処かにあるはずなのですが、全くわかりません。ここは望遠鏡を持参した方が楽しめます。

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池の平は太古の時代には火口湖で、外輪山が崩壊して放開口が形成された際に、水が流れ落ちたとも言われています。この湿原に唯一残った水場が鏡池ですが、湿原の乾燥化は着々と進んでいるようです。

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13:39@コマクサ峠を出発。今日のヒルクライムは終了したので、ここからはダウンヒルのみです。まずは距離4km、標高差300mを一気に下ります。

13:47@あっという間に地蔵峠です。コマクサ峠には飲食店、売店等はないので、ここでアイスを購入して一息つきました。

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14:03@県道94号線(東御嬬恋線)を下り始めますが、雲行きが怪しくなって来ました。案の定、途中で驟雨に見舞われ、雨宿りしながら下ります。そして、人家のあるゾーンまで来ると、これまで経験したことのない体験をします。

時速40km以上でダウンヒルしているのにクソ暑い!

体温以上の空気の層に突っ込んだ感じで顔が火照って来ます。ダウンヒルの爽快感ゼロでした。

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とりあえず、休み休みですがチェリーパークラインを攻略、テストは合格です。が、重要な気付きもありました。

毛無峠は涼しくなってから行こう!

走行距離:47.8km、獲得標高:1,426m、消費エネルギー:1,815C