Ride on a ちゃり

パワー不足のエンジン搭載ロードバイクの走行記録

ぐるっと奥利根ゆけむり街道

奥利根ゆけむり街道は、昨年秋に水上から照葉峡、坤六峠と走りましたが、折り返しのピストンルート、片品村側のゆけむり街道は手付かずとなっていました。それでは、ゆけむり街道全線を走ってみようと調べてみるとこれが驚きです。地図上、赤城山付近の県道251号線にも奥利根ゆけむり街道のラベルが付与されています。さすがと赤城山を奥利根と呼ぶのは、許容範囲外です。そこで、大場村付近から県道64号線で背嶺峠を越えて片品村鎌田、そして片品村戸倉を経て県道63号線で坤六峠を越え、みなかみ町に至るルートを「奥利根ゆけむり街道」と自己認定しました。

勝手にゆけむりラインを定義しましたが、これを一日で走破するのはそう簡単ではありません。横浜からのアクセスを含めて考えると、百名山である武尊山の周囲をぐるっと一周するルートとなります。距離100km、獲得標高は、2,000mオーバーのタフなコースです。私の体力、脚力では、長い日中時間と程よい気候という条件が揃わなければ完走は厳しく、この三連休が今年のラストチャンスと考えていました。心配していた天気も初日の土曜日は何とかなりそう、いざ、出陣!です。

朝のスタートをできるだけ早くして走行時間を確保するために、今回も車で現地入りすることにしましたが、起点候補が3つありました。

  1. 道の駅 みなかみ水紀行館
  2. 道の駅 月夜野矢瀬親水公園
  3. 道の駅 川場田園プラザ

どの候補にも一長一短があり迷いましたが、坤六峠越えで力を使い果たしてしまうだろうと予想し、最終的に、坤六峠に最も近い 1. の「みなかみ水紀行館」を起点に決定しました。

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標高マップ

7:32@道の駅みなかみ水紀行館をスタート。時速10kmとして、瀬峰峠に11:00、坤六峠に16:00、を目標タイムとしました。

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道の駅 みなかみ水紀行館

まずは、交通量の多い国道291号線を回避するために、利根川を越えて地元道へと向かいます。上越線の線路沿いの地元道は、交通量も極小で正解でした。

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水上の温泉街を流れる利根川

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上越線沿いのunnamed road

7:52@上牧地区で県道265号線(道木佐山沼田線)へ左折します。ちょっと怪しげな「釈迦の霊泉」の看板が目印です。

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県道265号線の入口

r265を上っていくと谷川岳を望むポイントがありました。あいにく雲に隠れてしまっていましたが、なかなかのビューポイントです。

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谷川岳

r265序盤は、上牧の長閑な里山です。ウォームアップを兼ねて、ゆったりと上っていきます。

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上牧の里山風景

沼田市との境界が、名もないピーク*でした。良好な路面を一気にダウンヒルして行くと、久しぶりの青空が前方に広がります。一気にテンションMaxです。

*「名もないピーク」ではなく、石神峠という名称があることが判明しました。

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8:49@四釜川に架かる諏訪大橋付近でr265とはお別れ、広域農道・利根沼田望郷ラインに入りました。これが農道か?と思う高規格な道です。交通量は少なく、適度にアップダウンもあるので、ロードバイクのトレーニングコースに最適。この日も数台のロードバイクとすれ違いました。

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望郷ライン 池田トンネル

池田トンネルを抜けると発知地区、りんごやさくらんぼの果樹園が点在します。今日は一日中曇り空と思っていたところ、この時間帯は素晴らしい天気!。余りに強い日差しに、慌てて日焼け止めを塗ります。

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発知川右岸を軽快にダウンヒル

発知川沿いにどこまでも下っていくのかと思いきや、途中で勾配が反転。直線的な長〜い上り坂となります。この付近の望郷ラインは、日を遮るものは無く、夏場は厳しそうです。

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今回走った望郷ライン区間には、視界の開けた場所はほとんどありません。唯一、滝野沢大橋の上から赤城山の裾野の昭和村付近が望めました。

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望郷ライン:滝野沢大橋の上から

 9:27@大場村門前で左折して、望郷ラインとお別れです。

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川場村

青々とした水田、黒々とした土の畑に各種野菜、そしてりんご農園と、大場村は地味豊かでした。

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りんご農園

その中で、写真の不思議な形状の作物(とても野菜には見えない!)を所々で見かけます。が、作物の名前が見当もつかずモヤモヤしたまま通過。

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不思議な姿の作物、何だこれ?

帰宅してから、あれは何だったのか?と調べますが大苦戦。最後は、思いついた作物の写真をネットで一つ一つ確認。ようやく辿り着いた答えが、

蒟蒻!

スッキリしました。

9:39@本日のメインルート県道64号線「奥利根ゆけむり街道」が向かう谷筋が見えてきます。距離8km、標高差500mのヒルクライムの始まりです。

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県道64号線

単純計算では平均斜度6%となりますが、序盤は、薄根川に沿って斜度4、5%の道が延々と続きます。尾瀬、日光へ向かう車が時折通過しますが、静かな道です。

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薄根川 赤倉沢付近

10:59@目標タイムギリギリで背嶺峠に到着。序盤が楽だった分のツケは、ラスト2kmできっちり回収されました。

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背嶺峠

トンネルを抜けると片品村花咲地区です。トンネル出口には、駐車場・トイレと休憩スペースがあり、休憩&エネルギー補給。前日光では立ったままでおにぎりを齧りましたが、今週はベンチに腰を下ろすことができ、ワンランク上の休憩ができました。

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片品村 花咲駐車場

11:16@静かで心地よい場所ですが、暢んびりしているわけにはいきません。標高1,100m、たっぷりかいた汗も冷えてきたのでウィンドブレーカーを着用、ダウンヒルを開始しました。あっという間に位置エネルギーを放出します。

途中の渓流で、フライフィッシングに興じる釣り人の姿を見かけます。フライフィッシングは、休みなく竿を振り続ける動的な釣りです。自分は、ヘラブナ釣りのようにじっと待つ静的な釣りの方が性に合っていそうです。

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塗川の釣り人

11:34@このままr64を下れば国道120号線へと至りますが、本日は、地図で見つけたショートカットルートを行きます。

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V字ターンして、白いガードレール方向へ上っていきます。

11:51@摺淵橋で片品川を越え、R120に合流。標高700m、湿った空気で少しモワッとします。

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摺淵橋

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片品川

この日、最も交通量が多かったR120。尾瀬に向かう観光バスも多く、気を抜けません。追い討ちをかけるように工事による片側交互通行区間が出現します。久しぶりの日差しが、ジワジワと体力を奪って行きます。

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R120工事区間、歩道へエスケープしました。

12:25@片品村鎌田で左折。立派な尾瀬大橋を渡り、戸倉へ向かう国道401号線に入ります。この橋を渡ったところのデイリーヤマザキがラストコンビニでしたが、その先、戸倉までの道筋にポツリポツリと個人商店もありました。

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尾瀬大橋

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大滝堰堤

R401区間にはビューポイントは無く、淡々とペダルを回します。唯一写真を撮ったのが、奥多摩にもこんな橋があったな、と思った古仲橋です。

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尾瀬古仲橋

13:09@ようやく戸倉に到着。ここが中間点、やっと中間点、まだ中間点です。体力の方は既に80%消費してしまい、カラータイマーが点滅しています。

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戸倉バスターミナル

バスターミナル奥にベンチを見つけ、倒れるように休憩に突入。固形物は喉を通らず、エナジーゼリーと水分を補給してベンチに横になります。吹き抜ける風が心地良く、10分ほどでだいぶ楽になりました。

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13:22@覚悟を決めて坤六峠ヒルクライム(距離12.6km、標高差600m)をスタートします。もはや脚にパワーは残っていないので、30T、34Tといった軽いギアしか踏めません。獲得標高2,000mオーバーのルートでは、いつも泣きが入る私です。

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県道63号線 ゆけむり街道

13:44@笠科川に沿ってジワジワと標高を上げています。尾瀬国立公園の道は、驚くほど滑らかで、疲れた体に優しかったです。

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笠科川

14:14@鳩待峠への分岐点で休憩の予定でしたが、標高1,200mを越えたあたりでエネルギー切れ。橋の袂で休憩し、おにぎりを補給しました。食欲が出てきたのでホッとします。

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標高1,200m付近

イカー規制中の鳩待峠を往復するタクシー、中型バスが、時々通過しますが、静かな道です。鶯の鳴き声が、存在感のある古木の森に響き渡ります。

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14:38@鳩待峠への分岐点、ちょうど標高1,300mでした。残り300m、少し元気が出てききます。分岐点を過ぎると交通量はほぼゼロとなりました。

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鳩待峠分岐

砂防ダムで堰き止められ池のようになった場所を通過。

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透明度が高く、鏡のような水面

標高1,400mを越えると頭上が開け、斜度も5%以下が中心となってきます。峠から下ってきた自転車に挨拶する余裕も生まれてきました。所々に眺望のありそうなコーナーが現れますが、青々と茂る木の葉に遮られて、視界はありません。

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標高1,400m付近

ついに記憶にある景色が見えてきました。15:40@坤六峠(標高1,620m)に到着です。

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坤六峠

峠には腰を下ろせる休憩場所はないので、ウィンドブレーカーを着込み、さっさとダウンヒルを開始します。

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武尊山を望むポイント。昨秋とは対照的な景色です。紅葉最盛期のタイミングでこの場所を訪れたいものです。

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武尊山

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昨年10月26日の同じ場所

休憩できる場所を探しながら下って行きましたが、なかなか良い場所がありません。16:06@奥利根自然公園の照葉橋の袂にようやく休憩場所を発見。橋の先は、公園内を巡る未舗装路へと繋がっています。このダートも一度は走りたいと狙っている道です。

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照葉橋

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奥利根水源の森

16:24@照葉峡ゾーンに入ります。秋の紅葉の景色には負けますが、水量豊富な渓谷の流れは、見応えがありました。

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つづみの滝

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水の流れはどう撮影するべきかと試行錯誤していると、ポツリポツリと雨が降り始めました。下り基調とはいえ、水上までまだ25km程あります。これはヤバイと撤収を開始しました。奈良俣ダムも止まらずに通過します。路面は濡れ、すっかり黒くなってしまいましたが、本降りにはならず、ズブ濡れは免れました。

疲れた体に鞭打って2つの上り返し区間をクリア、17:42@藤原トンネルを抜けて、ようやくゴールが見えてきます。

18:15@道の駅閉店後のガランとした駐車場に帰着。長い一日を無事終えることができました。タフなルートを走り切った充実感で気持ちは爽快!ですが、その代償に体はボロボロです。

走行距離:102.4km、獲得標高:2,526m、消費エネルギー:2,777C