自転車乗り換えプロジェクト(完結編)
新しい自転車で500km以上走りましたので、乗り換えプロジェクトの完結編として、まとめてみました。自転車の理論をほとんど理解していない素人のコメントですので、間違いが多々あることはご容赦ください。
(1)フレーム
- フレーム:Breezer 2018 / Inversion, 45cm
- フォーク:Full-carbon, tapered steerer, 12mm through-axle w/rack
カーボンからクロモリへの変更です。細身のフレームに憧れていたので、重量アップや錆びというデメリットを受け入れました。重量アップにより漕ぎ始めは重いですが、スピードに乗ってしまえば気になりません。ヒルクライムでもこれまでより辛くなったという印象はありません。
乗り心地については、カーボンのしなって振動を吸収する感触から、振動の角を取って丸くするような感触に変わりました。同時にタイヤ幅もアップしたので、全体的には乗り心地は向上しています。特に都心部の表面が細かく削れたアスファルトの道が楽になりました。
Inversionで最も小さいフレームを購入しましたが、自転車の全長は、以前のロードより長くなっています。ホイールベースが100cmと通常のロードバイクより長いのです。これにより、直進安定性が大幅に向上しました。平地はもちろんのこと、私の超低速ヒルクライム時のフラつきが激減しました。ダウンヒルも安定感がアップした気がします。その分、機動性が失われているのだと思いますが、私レベルでは全く影響はなく、直進安定性向上の恩恵の方が大きいです。ただし、輪行で思わぬ問題が生じました。輪行袋にうまく収まらないのです。横置き輪行袋の場合、ホイールベースの長い自転車は、要注意です。
グラベルロードなので、当然、ダボ穴もついていますが、まだ使い道を思案中です。キャンプツーリングまではやらないだろうな〜。
(2)駆動系
- フロントディレーラー:Shimano FD-R8000
- リアディレーラー:Shimano RD-8000 GS
- カセットスプロケット:Shimano CS-HG800 11-34T/11S
- チェーン:CG-HG701-11
- クランクセット:FC-R8000
駆動系で最初に迷ったのは、フロントをシングルにするか/ダブルにするかです。グラベルロード→フロントシングルというパターンは一つの定番です。シングルでもダブルのギア比の95%をカバーできるので実用上問題はないそうですが、最終的に判断ポイントは、未舗装路と舗装路の走行距離でした。私の場合、舗装路を走る比率が80%以上になると思われ、フロントダブルで従来通りのギア比を確保した方が脚に優しそうです。Sram Forceに心惹かれましたが、ここは、フロントダブルを選択しました。
次は、これまで通りCampagnoloで行くか/Shimanoに変更するかです。後述する操作系を考えるとCampagnoloなのですが、ディスクブレーキはShimanoの方が実績があります。最終的に、やっぱりコストがモノを言いました。ブレーキ、シフトレバーを含めたコンポーネントのお値段が、Campagnolo Potenza > Shimano Ultegra で、Ultegraのコストパフォーマンスが勝ちました。
走りの面では、34Tが追加となったことで、これまで斜度12%が継続して登り続けられる限界でしたが、斜度14%までなんとかなりそうです。これまで、無理無理と諦めていた和田峠あたりもチャレンジできそうで楽しみです。また、11-34Tというスプロケットは、
11・13・15・17・19・21・23・25・27・30・34
と比較的均等に歯数が配分されているので、シフトチェンジのフィーリングがリニアで扱いやすいです。
(3)ブレーキ
UltegraのディスクブレーキはBR-R8070ですが、これはフラットマウント仕様だそうです。Inversionは、ポストマウント仕様のためBR-RT785となりました。
キャリパーからディスクへブレーキのシステムの大幅変更となりましたが、意外と戸惑いはありませんでした。ディスクだから強烈な制動がかかるということはなく、止まるということに関しては、キャリパーでのブレーキングと同じ距離感覚で操作できます。最も異なるのが、レバーの握る際の握力です。油圧制御のディスクブレーキは、軽く握るだけでブレーキが作動します。おかげで斜度のキツイ下りが楽になりました。ただ、ブレーキが作動するアナログ的なフィーリングは薄くなり、テクニックのある人は不満かもしれません。最もディスクブレーキの恩恵を受けられると考えられる雨の日は、まだ未経験です。
(4)操作系
私の手のひらサイズは平均男性よりも小さいため、シフトレバーの大きさは、重要なポイントです。初めてのロードバイク購入時(2012年冬)には、Shimano STIは大ぶりで握りづらく、Campagnoloエルゴパワーしか考えられませんでした。その後のモデルチェンジでShimanoのSTIもスリムになってきましたが、ディスクブレーキ用のSTIは、油圧用のタンクが先端部にあるため、やっぱり大きめです。握ってみるとなんとかなりますが、視覚的に握れる?と不安を感じてしまいます。そこで、STIレバーのみDURA-ACE導入を決断しました。これは正解でした。ULTEGURAに比べ大幅にコンパクトな設計になっており、私の小さい手でも操作に不安はありません。
操作系をCampagnoloからShimanoに変更したことにより、当初、リアをシフトダウンしようとしてシフトアップすることがあり、少し混乱しましたが、ようやく慣れてきました。
両社を比較すると、
フロントは、圧倒的にShimanoです。Campagnoloでインナーからアウターへ切り替える際は、よっこらしょという感じの力仕事が必要ですが、Shimanoは軽いレバー操作一発でシフトできます。初めてシフト操作した時に、エ、何これ、電動?と思ったほどです。
リアは、Campagnoloの方が好きです。Campagnoloの親指でボタンを押すシフトアップは、ガチャガチャと変速がはっきりわかります。これに対し、Shimanoは中指(または人差し指)一本でのレバー操作ですが、カチカチとそのタッチは繊細です。レバー操作というよりも、スイッチを押すような感触で、はじめは変速しているのがわかりませんでした。
(5)ホイール/タイヤ
ホイールは、これまで通りのZonda DBもあったのですが、よく回ると評せられるDTSwissのハブを試してみたくなり、DTSwiss R23に変えてみました。サポートセンターが日本に開設され、アフターサービス面でも安心感が増したこともプラスポイントでした。その性能ですが、評判通りよく回ります。フレームの重量アップがあまり気にならないことにも寄与しているかもしれません。ただし、気になる点が一つ。爆音を発します。静かな林道に爆音を轟かせ、バイクのことを煩いと言えなくなりました。
クイックリリースからスルーアクスルというのも大きな変更。車輪の脱着に関しては、一手間増えます。クイックリリースはホイールに装着したまま脱着できますが、スルーアクスルは完全に外さなければならないからです。と言っても大した手間ではありません。一番の心配事は、輪行時に外したスルーアクスルをどこかに置き忘れることです。
タイヤについては、すごく迷って、結局無難な選択をしてしまった状況です。やっぱりグラベルを走るので荒れば、ブロックタイヤが必要と痛感しています。また、グラベルという意味では、チューブレスの方が空気圧を下げることができてメリットが大きいのですが、これも決断できずにいます。ホイールはチューブレスレディでいつでも変更可能なのですが、当面はチューブドで、目的地によりタイヤ(スリック/ブロック)を選ぶという運用を考えています。
しかし、28Cにサイズアップしただけでも、乗り心地アップと荒れた路面での安心感は強く実感できます。私のようなスピードを求めない(求められない)ライダーは、サイズアップはオススメです。
(6)ハンドル
- ステム:Dixna Vシェイプ
- ハンドル:Dixna バンディハンドル
- バーテープ:Deda GECO
グラベルロードのお約束として、ハンドルは、フレアーバー(ブラケット部の幅に対してドロップ部がハの字状に開いた形をしている)です。当初、Salsa Cowbell Barを考えたのですが入手できず、Dixnaバンディハンドルとなりました。でも、これは正解だったかもしれません。バンディハンドルは、非常にコンパクト、ドロップ部の落差も小さいので、下ハンがとても握り易いです。これにより、下ハンでブレーキングしながらダウンヒルすることが容易になりました。フレアーバーのため下ハンを握ると若干肘が外に開くため、少し違和感がありましたが、直ぐに慣れました。
バーテープは、これまでオーソドックスなチネリのコルク地のものを使ってきたのですが、Deda GECO(ジェコ:イタリア語の「ヤモリ」)に変更してみました。弾力があり、かつ滑らない(ベトつかない)とかなり気に入っています。
(7)サドル/シートポスト
- サドル:Fizi:k VERSUS EVO ALIANTE R3 kiumレール
- シートポスト:Fizi:k Cyrano R3アルミ
サドルは、これまで通りALIANTEを選択したのですが、ALIANTE自体が進化してしまっていて、薄くなってしまいました。衝撃がお尻にダイレクトにくるのではないかと心配になりましたが、そこはちゃんと設計されているようで、100km以上を走っても無事です。個人的には、もう少し厚みがあると嬉しいかな。
輪行については、注意点ありです。立ておき輪行の場合、写真を見てわかると思いますが、サドルと地面は、ほぼ一点で接地することになります。このため非常に不安定です。スルーアクスル対応のコの字型エンド金具が存在しないこともあり、縦型輪行は諦めざるを得なくなりました。
シートポストは、特にこだわりがなかったので、サドルと同じFizi:kを採用しました。カーボンのシートポストを使ってみたかったのですが、国内在庫がなく、普通にアルミに落ち着きました。グラベルという利用環境を考えると、少し気を使うカーボンよりもアルミで正解と思われます。
(7)ペダル
ペダル:Crank Brothers CANDY3
写真を撮るために坂道の途中で停まることがしばしばあるのですが、その後のリスタートが大きな問題でした。これまでのLook Keo2 Maxでは、坂道でうまく踏み面を捉えられず悪戦苦闘していました。そこで思いついたのが、4面キャッチ可能なCrank BrothersのSPDペダルの導入です。導入初期には嵌めるのに四苦八苦しましたが、数百回の脱着を経て、実用レベルにスムーズになってきました。坂道でのリスタートでも、期待した通り踏み面を気にせずに嵌めることができ、問題解決です。
シューズは、これまで履いてきたシューズのクリートを交換して利用しており、舗装路を走る分にはこれで問題ありません。しかし、グラベルでの押し歩きの多さを考えると、歩きやすい専用シューズも準備して、使い分ける方が良さそうです。
長々と極めて主観的な報告をしてしまいましたが、少しでも皆様の参考になればとまとめてみました。
以上