Ride on a ちゃり

パワー不足のエンジン搭載ロードバイクの走行記録

マニア的満足度120%の川乗林道、日向沢林道

2021.04.11

奥多摩は日原地区に位置する川乗林道ですが、林道自体が通行止めとなっていたところに、2019年の台風19号で日原街道の路面が流され、その入口にさえ辿り着けない状況となり、その存在を忘れかけていました。そんな川乗林道が通行可能となったことを、林道ナノレカワ線で知り、春になったら絶対行くぞとチャンスを窺っていました。

今回は、川乗林道と接続する日向沢林道がターゲット、日向沢林道の終点となる踊平トンネルを目指します。

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7:42@武蔵五日市駅のタイムズ駐車場を出発。この日の目的地からすると奥多摩まで輪行するのが常道ですが、在来線で往復6時間必要、帰りの電車は混雑するのでコロナが心配!と理屈をつけて車載としました。朝の気温は8℃、長袖ジャージと指ありグローブが必要でした。

川乗林道の起点まで30km、ちょうど良いウォームアップ区間です。梅ヶ谷峠を越えて、吉野街道を行きます。

8:42@万世橋多摩川を越えて青梅街道に入ると交通量がアップしましたが、しばしの辛抱。まもなく大部分の車はバイパスへと流れて行き、ストレスから開放されます。

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8:58@白丸調整池ダムに立ち寄りトイレ。花折トンネルの分岐を渓谷へ進むとあります。ここにはダムにより生じた高低差を和らげる魚道が設置されていて見学可能でした。この時間では、まだオープンしてませんが。

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9:10@奥多摩駅を通過するとすぐに日原街道の入口です。いよいよこのルートを探検です。

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まるで軍事要塞のような奥多摩工業氷川工場を右手に見ながら上って行きます。

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9:28@日原街道の崩落跡を通過。もっと険しい地形のところかと思っていましたが、どこにでもある渓流沿いの道です。川沿いに円筒の鉄柱をずらっと打ち込んで護岸を修復してありました。

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白妙橋と呼ばれる吊り橋が見えてくると頭上に鉄橋が現れます。奥多摩工業に石灰石を運ぶためのトロッコ用だそうです。

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9:36@川乗林道ゲートに到着。鉄橋の下を通過すると直ぐです。林道ゲートがありますが、通行可能であれば施錠されていません。開けたら閉めるのルールで運用されています。したがって、この林道には車やバイクもやってきます。そうは言っても離合困難な厳しい山道、この日に遭遇したのは、バイク3台、車3台(うち2台は駐車中)、登山者3人でした。

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今日のゴールは、日向沢林道の踊平トンネルです。川乗林道とその先の日向沢林道を合わせて全長9.3km、標高1,200m付近まで上ります。標高差917mですので、平均斜度10%です。川乗林道の後半から未舗装路となりますが、行ってみない路面状況はわかりません。

序盤は、新緑が美しい川苔渓谷をゆるりと上って行きます。この辺りでは川苔が取れたことから、川苔渓谷、川苔山と呼ばれていて、林道名の「川乗」は当て字のようです。

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まもなくして急登がスタート。以後、林道ピーク付近までず〜っと10%前後でした。厳しい上りですが、基本的に林道を独り占め、マイペースで進めるので不思議となんとかなります。しかし、夏場だったら一発でオーバーヒートしてしまう勾配、春か秋がお勧めです。

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9:54@特徴的な切り通しポイントを通過。ここで長袖ジャージを脱ぎ、長袖インナーに半袖ジャージ姿に変身。手袋も指切りグローブに交換です。この日は気温差が大きいとの予報から準備してきました。

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10:04@竜王橋。橋の先は急勾配のカーブです。さらにその先100mは、大きな亀裂と体が上下に揺さぶられる程の波打つ路面。よく整備されたこの林道の舗装区間の中で、ここだけは最悪でした。帰路は、安全第一で押して通過しようと記憶に留めます。

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10:10@細倉橋。ここから百尋の滝、川苔山への登山道が分岐しています。百尋の滝まで1.9kmです。帰路、元気ならば行ってみるかと通過。

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苦しい上りが続きますが、山の景色は春のグラデーション。クライマーズ・ハイ状態なのか楽しく感じます。

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10:39@百尋(ひゃくひろ)の滝を見下ろすポイントに到着。川苔谷にかかる落差約40mの滝は、遠目でも名爆であろうことが分かります。そして視線をその左上へと移すと、絶壁に林道の道筋が刻まれています。この林道の絶景区間です。緑が深くなると滝が隠れてしまうので、今が見頃でした。

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滝の上、垂直に切り立つ崖下区間までやって来ました。我ながらよく来たなという景色です。ここで、エネルギー補給の休憩としました。谷筋を流れる風で、汗をかいた体が急速に冷えてきます。

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縁石を掴み、恐る恐る崖下を覗くと、滝へ向かう登山道に人の姿が見えます。細倉橋からやって来た人達です。

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11:03@滝上橋。絶景区間の先にも滝がありました。この林道で景色を楽しむのであれば、ここまでで十分です。ここから先は、マニアな世界、あるのは達成感だけです。

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川乗林道との我慢比べが続きます。川苔川の源流部を通過。この辺りの森は、これから芽吹きです。

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11:21@標高1,000mを越えたところで路面がダートになりました。

待ってました!

と果敢にチャレンジしたのですが、直ぐに勾配がアップして手に負えなくなり、押しに入ります。こんな調子で、踊平まで辿り着けるのか?との疑念が湧いてきました。

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11:27@林道の分岐点に到達。川乗林道(左方向)はこの先700m程で終点となるようです。本日のゴール踊平トンネルは、日向沢林道、直進します。このあたりは、少し平坦なので、再び乗車しましたが、、、

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急激に勾配がアップし、路面もガレガレ。なす術なしです。押して進むしかありません。山の斜面側になんの対策も施されていませんから崩れて当然、逆によく整備されていると言えるのかもしれません。

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こりゃ〜撤退かな???

と思い始めたところ、急勾配の終わりが見えて来ました。

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勾配が落ち着くと、路面状況も大幅に改善。楽しい楽しいダート道となりました。ゴールに辿り着ける気がしてきます。

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山腹に道筋が見えます。あの角度では、厳しかったはずです。

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11:54@日向沢林道のピーク付近。周囲の山の山頂と同じ高さで開放感があります。この先からは下り区間でした。

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帰りの上り返しを気にしながら下って行くと、ついにゴールが見えました!

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11:58@踊平トンネルに到着。朝、追い抜いていった車が駐車していて、男性が立っています。こんな山中で何?と近づくと、ドローンを飛ばしていました。確かに周囲を気にすることなくドローンで遊べます。ここは、マニアの場所です。

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トンネルの先で林道は消失していました。帰宅後に調べてみると、以前はこの先も道が続いていました。大規模崩落により、道が埋まってしまった景色だったのです。名栗の有馬峠まで延長される計画だったようですが、平成15年に整備計画中止が決定されたとのこと。つながっていれば、奥多摩と飯能を結ぶ夢のルートでした。

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12:08@ドローンおじさんの邪魔にならないように、開放感のあるピーク地点まで戻って休憩としました。今年度一番の達成感、その余韻に浸ります。

さすがと標高1,200m付近、風が冷たく、長袖ジャージを羽織り、手袋も交換、慎重にダウンヒルをスタート。しかし、慎重過ぎたのが仇となり、一度転けてしまいました。ガレた場所でStop or Goの判断を迷い、バランスを崩しました。早い判断と思い切りも重要です。

帰路、同じルートを走るのも面白くないので、吉野街道から林道大入線に入ります。つるつる温泉側ほどの勾配ではないものの、ここも10%の世界でした。

15:07@梅野木峠に到着。誰もいない峠で最後の休憩としました。

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川乗林道と日向沢林道、厳しくも楽しいマニア的満足度120%の道でした。おすすめの林道ですが、それなりの準備と覚悟が必要です。車両の通行もあるということもお忘れなく。安全に楽しんでください。

走行距離:78.1km、獲得標高:1,615m、消費エネルギー:1,955C