Ride on a ちゃり

パワー不足のエンジン搭載ロードバイクの走行記録

初の奥州路でエンジンブロー、撃沈

待ちに待った最高のコンディションの週末が訪れました。昨年は10月初旬に自転車で転倒し、右手親指を骨折、紅葉シーズンを棒に振りました。そのため、今年は秋の絶景を見たいという気持が強くあります。乗鞍でその第一弾を見ることができたので、第二段として選択したのは、磐梯吾妻スカイライン。ネットの紅葉サイトでも「今が見頃」表示です。加えて初の東北遠征、初の新幹線輪行と、新たな領域へのチャレンジでもあります。

磐梯吾妻スカイラインを攻める場合、福島側からと郡山側からの選択肢があります。福島側からの方が目標とする浄土平までの距離は短いですが、厳しい登りが待ち受けています。私の場合は、当然、長くても斜度の緩い郡山側のルートを選択したのですが、予想外の難所が潜んでいました。

根岸発5:01の京浜東北線で出発。新幹線の切符は根岸で購入するつもりでしたが、新幹線の自販機はこの時間帯では動いていませんでした。このため、早朝から混み合う東京駅で切符を購入し、ホームの売店で朝食のサンドイッチを仕入れて、やまびこ41号(東京発6:04)に乗車したのが発車2分前という慌ただしいものとなりました。幸いにも自転車を荷物置き場に収納でき、輪行の難関クリアです。2号車の最後部の5席中3名がライダー、大宮から乗車したライダーはデッキで過ごされていました。皆さんこの天気を待っていたようです。

実は、郡山へ行くルートを調べていて、横浜から高速バス(23:05発→4:50着)があることを発見したのですが、荷物として自転車を受け入れてはくれないようで断念しました。

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7:24@郡山に到着。あっという間でした。奥多摩へ行くよりも時間的に近いという不思議です。

嬉しくなるような青空のもと、自転車を組み立て、スポーツドリンクと食料を駅前のコンビニで調達して8:00にスタート。最高気温は20℃を越えるので、薄手の長袖アンダーに半袖ジャージ、下は長パンで走るつもりでしたが、郡山の朝の空気は冷たく、長袖ジャージを重ね着しました。食料は、おにぎり2個、エナジーゼリー2個、羊羹1個と充分な量を持ったはずだったのですが、、、

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まずは、磐梯熱海を目指しました。幹線道路を避けて広域農道を走ります。この選択は大正解でした。

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はじめてのコースを走る際には、どこでトイレに行けるかという点が気になります。今回のコースの場合、磐梯吾妻スカイラインまで到達すれば観光地なので何とかなりそうですが、前半部分が問題です。ルートを作成しながらGoogleマップで探した結果、広域農道沿いに待池公園という大きめの公園を発見!、トイレの問題も解消しました。

8:35、その待池公園に到着。林に囲まれた静かな池があり、いい雰囲気の公園でした。トイレを済ませ、気温も上がって来たのでここで長袖ジャージを脱ぎます。

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磐梯熱海から県道24号線に入り、田圃の中を少しずつ上って行きます。箕輪山の斜面が赤く染まっているのが見えてきて、紅葉への期待が一気に上がりました。

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稲刈りも終盤を迎えていて、稲を干す風景に季節の変化を感じます。暑くも寒くもなくいい気候になりました。

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10:00に母成(ぼなり)グリーンラインの起点となる石筵ふれあい牧場に到着。石筵は、「いしむしろ」と読みます。母成グリーンラインは昔は有料道路だったようで、この地点にゲートがあったようです。その名残か、ここにトイレがありました。

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走り始めて2時間経過、休憩のタイミングです。道路脇の倉庫の土台に腰を下ろし、おにぎり1個と羊羹を食べたのですが、ちょっと物足りない気分でした。変だなと思いましたが、補給は十分と自分に納得させて出発しました。

母成グリーンラインは、斜度5、6%の登りがダラダラと続きます。この程度の斜度であれば、パワー不足の私でもそれほど苦労せずに登れるはずなのですが、今日は全然スピードが上がりません。実はこの遠征の直前に手術に向けた検査入院をしていて、4日間ベットの上でゴロゴロしていたのです。本人としては、休養充分的な感覚でいたのですが、筋肉は劣化していたようです。同様に、4日間カロリーをコントロールされた病院食でしたので、グリコーゲンの蓄積も普段より少ない状況だったと気づいたのは、帰りの新幹線の中でした。

林間の道を淡々と登っていると、追い抜いて行った車とバイクが立て続けに路肩に駐車しました。

何ぞトラブル発生?

と思ったら、バイクのライダーが、

有名な湧き水ですよ!飲んでもOK!

と教えてくれました。落葉樹林の森の伏流水ですから美味しいはずです。味見してみると、仄かな風味のある角の取れた丸い水でした。この時点ではボトルに半分以上スポーツドリンクが残っていたので、この水を補給しなかったのですが、後々これを後悔することになります。

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猪苗代町の道標を過ぎると道は平坦になり、母成峠のパーキングに到着(10:58)。立派な母成峠古戦場跡の石碑がありました。戊辰戦役で官軍と旧幕府軍が衝突した場所の一つだそうです。

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母成グリーンラインはこれと言って見所のない道でしたが、母成峠からの見晴らしは良好でした。森は黄色く色づき始めていましたが、このあたりの見頃はまだまだです。

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母成峠から国道115号線まで一旦ダウンヒル。その途中で中丿沢温泉を通過したのですが、素通りしてしまいました。中丿沢温泉には、天ぷらまんじゅうの日の出屋や自動販売機があり、後で考えると重要な補給ポイントでした。

11:15、国道115号線に到達。スカイラインを目指して登坂を再開したのですが、この国道115号線がくせ者でした。

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国道115号線(土湯街道)は会津若松と福島を結ぶ幹線道路、車は信号機のない直線的な登り坂をかなりのスピードで走りすぎて行きます。一方、私のスピードは10km/h以下で気を抜くとふらつきます。おまけに車線と路肩の間に大きなギャップがあり、走行ライン維持に神経を磨り減らしました。

12:15、とうとう気持が挫けて路肩でストップしてしまいました。

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路肩でエナジゼリーを補給しながら撤退についてマジで検討しました。115号線を逆方向へ下れば猪苗代から磐越西線で郡山へ戻れます。猪苗代湖でも見物して帰るかと思いましたが、ここまで来て余りにも残念です。後一時間だけ頑張ってそれでも駄目なら撤退することで気持の整理をして再スタートしました。

500mほど走ると目の前に箕輪山の姿がドーンと飛び込んできてマイナス思考を吹き飛ばします。さらに、横向大橋を過ぎたところで道は分岐し、ようやく国道115号線とおさらばできました。

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磐梯吾妻スカイラインへ向かう県道30号線に入ると行楽客のマイカーだけになり交通量は激減、また自転車を避けるように走ってくれるのでストレスからも解放されました。

再スタートして30分程で横向温泉を見下ろす高台まで登って来ました。自分の登って来たルートを見下ろせるポイントは励みになります。相変わらずスピードが上がりませんが、何とかなりそうな気分が湧いてきました。

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前方に天空のコーナーが見えて来ました。あそこまで登ると何が見えるのか期待が高まります。

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そこから見えたのは、

会津磐梯山

でした。風景が元気を注入してくれます。

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13:08@磐梯吾妻スカイラインの起点にようやく到達。ここからスカイラインの最高地点まで距離10km、標高差400mといったところです。休みながら進めばなんとかなりそうです。

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スカイラインに入ると紅葉のレベルが一段階アップ。しかし、まだ70%と行ったところでしょうか。

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吾妻八景の一つ国見台。会津方面が見える絶景ポイントですが、逆光でうまく撮影できません。こういう場合は180度ターンして順光となる側に被写体を探すと・・・
山の斜面は紅葉が綺麗でした。

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スカイラインは平均斜度としては5%ですが、フラットな区間も多く、実質的な斜度は6〜7%あたりです。見通しが良くて楽しく走れるのですが、遥か上へと続く道が見えるのがちょっと辛い。

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13:29@天風境まで登って来ました。ここで最後のおにぎりを食べます。同時にボトルの水もなくなりました。

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山と山の間から見えるのは福島南部の町並みでしょうか。もう一週間経つとここの紅葉は凄いことになりそうです。

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湖見(うみみ)峠の手前で絶景ポイントを発見。自転車か徒歩でなければ、ここは素通りするしかありません。

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湖見峠から少し下って上り返すと、標高1,400mと路面にペイントされた地点を通過します。かなり疲労もたまって来ましたが、100m毎で刻んで行けば何とかなるだろうと頭の中で計算します。諦めかけたゴールが見えて来ました。

が、ここで事件が発生です!

ヘアピンカーブで車が来てしまったので、仕方なくインコーナーの壁を力任せに乗り越えたのですが、その直後にスピードが大幅ダウン。こりゃ休憩するしかないと路肩に停車しました。ちょうど14:00でした。

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自転車を降り、まずは呼吸を整えようとしたのですが・・・

あれれれれ!

逆に呼吸がどんどんと早くなって行きます。典型的な過呼吸の症状です。深呼吸しても収まりません、ついには唇が痺れてきました。ピンチです。

過呼吸Wikipediaより抜粋、編集)

血液中の酸素と二酸化炭素のバランスが崩れ、酸素過多になり、二酸化炭素不足となる状態。呼気からの二酸化炭素の排出が必要量を超え動脈血の二酸化炭素濃度が減少して血液がアルカリ性に傾くため、息苦しさを覚える。そのため、無意識に延髄が反射によって呼吸を停止させ、血液中の二酸化炭素を増加させようとする。しかし、大脳皮質は、呼吸ができなくなるのを異常と捉え、さらに呼吸させようとする。また、血管が収縮してしまい、軽度の場合は手足の痺れ、重度の場合は筋肉が硬直する。それらが悪循環になって発作がひどくなっていく。

マラソンをはじめとした運動やスポーツなどが、過呼吸発作の引き金となることもあるようです。例えばマラソンのゴール直前に、最後のひと踏ん張りと意識的にスピードを速めた場合、ゴールした瞬間に過呼吸発作が起きてしまうケースも珍しくない。

対処法は、紙袋などに口・鼻をあて、吐いた空気を再度吸い込むという行為をくり返し、血中の二酸化炭素濃度を上げる方法(ペーパーバッグ法)が一般的だが、この場合、酸素不足にならないよう、少し隙間を作っておくなどの配慮が必要でその加減が難しく、袋を用いる方法は有効性よりもむしろリスクの方が大きいという意見もある。

ボーとした頭でどうするかを考えました。

  1. 自転車を押し歩きしてでも前進、浄土平から福島方面へ下る
  2. スカイラインの起点まで戻り、土湯温泉経由で福島方面へ下る
  3. 国道115号線を猪苗代へ下る
  4. 自転車保険に連絡してHELPを呼ぶ

1、2は却下、4はやり過ぎなので、一番安全・確実な3を選択。となれば、ここに長居は無用です。まだハアハアしていましたが、ゆっくり慎重にダウンヒルを開始しました。軽く体を動かしたことがよかったのか、天風境のあたりまで下って来ると、過呼吸も収まりました。

往路でストレスに晒された115号線ですが、復路は快走路でした。猪苗代から磐越西線を利用して、無事に生還しました。反省と対策は、別途じっくり行いましょう。

 

走行距離:88.9km、獲得標高:1,583m、消費エネルギー:2,487kcal