富士川から安倍川へ、豊岡梅ヶ島林道を行く。(後編)
15分程休憩の後、路面に積もった砂に後輪を空転させながら再スタート。もっとゆっくりしたかったのですが、メマトイにまとわりつかれ鬱陶しく、落ち着くことができませんでした。
標高1,000m付近から斜度が一段階アップした気がします。リフレッシュしたはずなのに脚が回りません。歩くようなスピードなので、メマトイもついてきます。
12:46@工事現場に差し掛かりました。ごっそりと斜面ごと崩落した場所を修復しています。
少し先の沢には、かつて斜面をガードしていたと思われるコンクリートの壁が無残な姿を晒していました。この斜面の崩落を食い止めるのは容易ではなさそうです。
13:10@休憩広場に到着。この林道の数少ないランドマークである道標がその入口です。辛くなってきたところだったので救われました。
休憩広場は、ベンチとテーブルが設置された駐車場です。バイクや車の人達はここで休憩。「冬季閉鎖解除のすぐ後に来た時は、こんなに路面は荒れてなかったよ」という山ラーの準備中のバイク人の会話が聞こえてきました。やはり先週の豪雨により大量の砂利が運ばれてきたようです。
かろうじて富士山を拝めますが、ここからの眺望は今ひとつ。
10分ほどの休憩で峠アタックを開始しましたが、休憩広場の先も辛い上りが続き、体力インジケーターが急激に減っていきます。
13:36@2つ目のゲートを通過。
周囲の雰囲気は峠は近いことを示しています。新緑が綺麗ですが、何気なく10%の上りが続きます。私の体力も限界が近づいてきました。
13:47@ほとんど脚が限界というところで、ピーク(標高1,460m付近)に到達しました。眺望はなく峠の道標もありません。この場所に長居をしても仕方がないので、早々にダウンヒルを開始しました。
どうやら安倍峠(標高1,416m)は林道ピークの手前にあったようです。私は、ペダルを回すのに精一杯で、気づかずに通過してしまいました。今思えば、あの辺りか?と思う場所がありました。
梅ヶ島温泉まで7kmのダウンヒルです。林道ピークから100mほどのところに、登山者用の駐車場があり、トイレがありました。水分は全て汗と化しているので、今日は必要ありません。
静岡側の路面は、ところどころに穴ぼこがありましたが、堆積物はなく、普通にダウンヒルできました。現在の路面状況では、山梨側を上り、静岡側へ下るというのが、正解と思います。
林道沿いに、柱状節理の渓谷や鯉ヶ滝などのランドマークがありましたが、景色の大きさは山梨側が圧勝でした。しかし、秋の紅葉は、静岡側に軍配が上がりそうです。
14:30@梅ヶ島温泉(標高900m付近)まで下って来ました。道沿いに温泉宿が数軒ありますが、人の気配がほとんどありません。秘境感は満載なのですが、人気温泉地となるには何かが足りないようです。
今日のルートは、身延駅から安倍峠までの20kmはひたすら上り、峠から静岡駅への50kmはずっと下りです。既に安倍峠をクリアしたので梅ヶ島温泉に到着した時は、気楽な気分でした。そんな時、「三段の滝 徒歩5分」と案内を発見。案内の指し示す方向へは、安倍川上流へ向けて斜度15%はあろうかという道が続いています。見ずに帰って後悔するのは嫌なので行ってみることにしました。もちろん自転車は押して歩きました。
砂防ダムの上に架かる赤い橋からは、渓谷全体が見渡せます。
橋のたもとに、安倍川起点の標識を発見。川の起点の標識というのを初めて見ました。
三段の滝、ここまで5分で歩ける人は、かなりの健脚です。滝自体は、まあこんなものか、、、でしょうか。
さらに奥には砂防ダム、水量豊富で迫力があります。三段の滝よりも見応えがあるような気がしました。
15:07@梅ヶ島温泉を出発。県道29号線(梅ヶ島街道)には、静岡駅までのキロ数が表示されています。「45.5km」という数字の距離感を、普段走るルートに置き換え、ここは「ここは大磯」と理解、ざっくり150分と見積もりました。
一気に静岡駅を目指す予定だったのですが、汗でベトベトの体で新幹線に乗るのも嫌だなと、日帰り温泉「黄金の湯」で汗を流すことにします。
大人90分400円(1日700円)というリーズナブルな料金設定です。汗を流して、無色透明なツルツルのナトリウム炭酸水素泉に浸かり、気分をリフレッシュ。寄り道して正解でした。
16:09@改めて静岡駅へと出発します。途中、日本三大崩れの一つと言われる大谷崩れによってできた赤水の滝を、展望台から観瀑。もっと近くから見ることができれば、感動ものの滝なのですが、これ以上近寄れず少し残念です。
車のほとんど来ない梅ヶ島街道を風を切って下っていきます。この先で、本日初めて自転車と遭遇、地元の方にドピューンと追い抜かれました。
梅ヶ島街道後半はフラットの道となり、南からの向かい風に対抗して足を回さねば前に進みません。再び汗をかいてしまったのが、ちょっと誤算でした。
18:00@時報のチャイムと同時に静岡駅に到着。新横浜まではドア横に立って帰る覚悟でしたが、運よく最後部シートに座席を確保できて、自転車も無事収容できました。新横浜までは1時間、あっという間に到着です。往路とのギャップの大きさに驚きです。
今回念願の安倍峠をクリアできましたが、このルートは、紅葉と澄んだ空気の元での富士山を堪能できる晩秋に訪れるのがベストです。ということは、もう一度は訪れる必要がありそうです。
走行距離:76.4km、獲得標高:1,343m、消費エネルギー:1,998C