Ride on a ちゃり

パワー不足のエンジン搭載ロードバイクの走行記録

筏場林道で天城の秘境・皮子平原生林へ

2021.11.19

天城山中に皮子平(かわごだいら)原生林という秘境があることを知ったのは、この方のブログです。ブログの主のTAKA氏は、天城山中を八丁池から皮子平まで自転車同伴で踏破してしまうのですが、私にはそんなことは到底できません。もっとオーソドックスなルートを探したところ、伊豆市の観光情報サイトで筏場林道を経由するルートを発見。これに加え、林道のスペシャリストの現況調査レポートは、筏場林道の難易度をイメージするのに大いに役立ちました。当初12月に実行する予定でしたが、できるだけ行動時間を確保するべく予定を前倒して決行しました。

7:58@修善寺駅をスタート。東海道線の下り始発電車に乗ると6:16@熱海に到着。同じホームで待つ6:19@沼津行きに慌ただしく乗り換えると7:24@修善寺です。夏場であれば、6:26@函南からスタートという手もあります。

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多少のアップダウンがあるものの交通量の多い国道414号線を避け、県道349号線(修善寺天城湯ヶ島線)を利用するのが定番ルートです。遥か頭上を伊豆縦貫道がクロスします。

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9:11@湯ヶ島から県道59号線(伊東西伊豆線)へ。杉木立の中を国士峠に上って行きます。

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9:56@国士峠を超えて、筏場のワサビ田に到着。東京ドーム3個分の面積の棚田が広がります。

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ワサビ田の先には何が待っているのか?とワクワクしながら進むと、コンクリート舗装の悶絶激坂が歓迎してくれました。この日、最も勾配のキツかった区間がここでした。

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10:13@筏場林道ゲートに到着。許可車両以外通行止めですが、登山道としては利用可能、ゲートの支柱も人が通り抜けられるように加工されています。自転車の乗入れはグレーですので、ここから先は自己責任です。

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ゲート通過後もしばらく舗装路が続き、下水神橋の先からダートが始まりました。硬くしまったフラットダートです。砂利も少なく走り易い路面にテンションが上がります。

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10:21@筏場林道本線(左)、筏場林道支線(右)の分岐。どちらに進んでも、5km程先で再び合流します。距離もほぼ同じです。往路-筏場林道支線(右)、復路-筏場林道本線(左)として走り比べてみました。路面状況は刻々と変化すると思いますが、2021.11時点では本線をお勧めします。路面状況の悪い箇所が本線の方が少なかったことが推薦の理由ですが、その差は僅かです。

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分岐直後の上りをクリアすると、快適なフラットダートの世界となります。

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この林道、石畳を走っているような感覚があります。写真のように路面に石が埋まっているような場所が随所にありました。

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10:35@誰もいないはずの林道に高周波の金属音が聞こえ始め、次第に大きくなってきます。そしてカーブの先からパワーショベルが出現しました。あまりに予想外の出会いに写真を撮るのを忘れます。結局、この日の出会いは、このパワーショベルとカモシカ一頭でした。

10:40@筏場林道支線から軽石林道が左に分岐します。あまり見かけぬタイプの林道標識、というかプレートです。

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急勾配箇所はコンクリート舗装されていましたが、所々に10%オーバーの未舗装部分が残っています。当然、そういった場所は、雨裂が生じてガレていたり、落葉に埋め尽くされていたり、と乗車は危険。押し歩きでリスクを回避します。また、最近補修されたと思われる区間には大量の砂利が投入されていましたが、よく押し固められていたので十分に走れました。

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所々に現れるオープンな空間は、林道延伸工事の際の作業スペースのようです。この場所には「平成3年軽石林道林道新設工事起点」と記された石碑がありました。

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11:25@軽石林道と筏場林道本線の合流地点。「軽石林道3.4km」と書かれた杭が打たれています。晴れていればこの場所から富士山が見えるようですが、この日は薄曇りで確認できません。

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11:33@戸塚歩道入口。ここから徒歩50分で皮子平。

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勾配がさほど厳しくないこともあって筏場林道本線の路面状況も良好です。紅葉の残る森を嬉々として進みます。

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11:44@皮子平歩道という標識の先にオープンスペース。ここから戸塚林道と林道天城岩尾支線がスタートしていました。天城岩尾支線は、Googleマップの衛生写真で見ると岩尾林道、本谷林道と接続していそうです。このオープンスペースには伐採された木材が残されていて、腰を下ろして休憩するのにちょうど良い感じです。ここで休憩と思いましたが、林道終点までどのくらいかかるのか見当が付かず、先を急ぎました。

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戸塚林道

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林道天城岩尾支線

白い石が大量に投入された路面に変化。段階的に延伸されていく林道ですので、工事区間毎に道の雰囲気が変わります。これまでの経験から、白い路面=滑るでしたが、この林道の白は石自体の色です。路面は硬くしまっているので滑りません。

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11:54@本日の登山開始ポイントの上井屋歩道入口、ここから皮子平まで徒歩30分です。その前に林道終点の探索へ向かいます。

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再び、林道の様子が変化、なんだか荒々しい雰囲気、ちょっと心細くなります。

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12:11@ゲートから約2時間、ついに林道終点に到達です。ロープが貼られているだけの何もない場所でしたが、マニア的には終点まで極めたことでOKです。この地点からの登山道はないので戻ります。

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12:32@エネルギー補給をして皮子平探検スタート、自転車は留守番です。

上井屋歩道は、いきなり檜の迷路でした。登山道を示すピンクのテープが見当たりません。しばらく迷路を眺め、ようやく気付きました。無造作に置かれた苔むした間伐材、どうやらこれを跨ぐような状況に追い込まれたらアウトのようです。このルールで道を探しながら進みましたが、それでも一回迷って引き返しました。

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写真左端の微かな踏み跡がルートでした。

桧林の迷路は脱出しましたが、登山路なのか、水の流れた跡なのか、判然としない急斜面を登ります。全く人気がないので、道を誤れば遭難するぞ!と真剣に道の痕跡を探します。

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ようやく登山路を示す明確な印が現れ、ホッとします。

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勾配が緩み、ブナの原生森が現れます。つい先程まで急斜面をハアハアしながら登っていたのに、突如現れる平坦な空間、異世界に引き込まれるような気分になります。

「カワゴ平(皮子平)」と呼ばれる平坦地は、約3200年前に起きた、伊豆東部火山群の中でも最大規模の噴火の火口です。(伊豆半島ジオパークHPより)

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次は鹿の防護柵が設置された場所に出ます。そこからは一段高い稜線が見え、火山の火口にいることが認識できます。

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道はトウゴクミツバツツジの中へ入って行きます。ロープを頼りに藪漕ぎです。

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13:08@西皮子平らしき場所に到着。地面に点在する黄緑色の塊は、全て苔むした岩、なんとも幻想的な森です。時間も押していたので、ここで引き返しましたが、戸塚歩道合流点の東皮子平まで行くべきだったと帰宅後に後悔しました。新緑の季節にまた訪れたいです。

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f:id:saetta0404:20211201191146j:plain13:36@上井屋歩道入口に帰着、ダウンヒル開始。私は未舗装路のダウンヒルを苦手とするのですが、この林道のダウンヒルは十分に楽しめました。

13:57@軽石林道、筏場林道本線合流地点。路面状況が判っている軽石林道を利用すべきかちょっと迷いましたが、あえて筏場林道本線を下ります。

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この林道が走り易い理由、石畳の秘密が判明しました。この林道では、流出した路面に対して、丁寧に石を敷詰める補修が行われています。こんな補修箇所が数十あり、かなり徹底的に実施されていました。Good Job!! です。

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路面は安定しているし、勾配も穏やかなので、気持ちよくダウンヒルして行きます。

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f:id:saetta0404:20211201191414j:plain14:23@筏場林道本線、支線分岐に到着。筏場林道本線の舗装区間は1箇所だけでした。林道合流地点まで往路は64分、復路26分となりました。

14:55@大見川中流域。ルートには、筏場大崩壊跡の探検も組み込んであったのですが、皮子平で120%満足してしまったのでパスしました。

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15:18@冷川IC付近の里山がちょうど紅葉見頃です。

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15:43@最後の峠越え、冷川峠。

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15:57@ちょっと寄り道して松川湖に立ち寄ります。狙いは奥野林道だったのですが、入口を見落としてダム湖を周回してしまいました。現地に行けば分かるだろうと安易な気持ちで予習なしで臨んだ失敗です。

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16:34@伊東駅に到着。新しくなった踊り子号で帰路につきました。横置輪行袋は、最後部座席後ろの定位置では通路に少しはみ出しそうです。また、乗降口付近のスペースも微妙な広さで、新車両は輪行には悩ましいサイズでした。

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皮子平は確かに天城の秘境、そしてスピリチャルな空間でした。また、そこへ至る筏場林道は今年一番楽しめたグラベルとなり、充実した晩秋の一日でした。

今回のルートも、途中トラブル等が発生しても助けは期待できない場所です。訪れる際は、事前準備等を十分に行ってから行動してください。

走行距離:65.9km、獲得標高:1,375m、消費エネルギー:1,912C