奥久慈のジェットコースター林道を行く(グリーンライン編)
2011.11.12
私にとって、茨城は未開拓ゾーン(霞ヶ浦のみ)でしたので、以前から攻略を検討していました。やはり基本は筑波山か?と思うのですが、あまりにベタで食指が伸びずにいたところ、「ツール・ド x 大子」を知りました。その案内を見ると、「茨城県最高峰・八溝山を目指す60km」とか「絶景と林道を巡る95km」など興味を喚起するコースが掲載されています。そもそも大子(だいご)って何処?と調べると、福島県、栃木県と接する茨城県北西部の町であり、有名な袋田の滝が近くにあります。よし、ここに行ってみよう!とルートを作成し、遠征準備を整えたのですが、何と出発当日に入院となってしまいました。退院後、仕切り直しのタイミングを図っていたのですが、袋田の滝の紅葉が見頃と聞き、決行することとしました。ルートは、「絶景と林道を巡る95km」を参考に作成。今回も写真枚数が多くなり、グリーンライン編とパノラマライン編に分けてアップします。
計画作成段階で判りましたが、奥久慈は交通のアクセスの悪い所です。最寄駅はJR水郡線の常陸大子駅ですが、横浜を早朝にスタートしても到着時間が10:39となってしまいます。今回は車載を選択しましたが、常磐道の那珂ICから1時間かかりました。最寄りICから1時間以上というのは、乗鞍高原、御嶽山の王滝村、東俣林道の畑薙第一ダムなど、最奥地ばかりなのですが、奥久慈も仲間入りです。
横浜出発時は気温16℃と暖かい朝でしたが、江戸川を越え、常磐道に入ると気温はグングン急降下し、7:30@大子到着時には気温6℃と、今シーズン初のネックウォーマー、冬用手袋の登場となりました。
7:58@大子町役場付近の駐車場に車を停め、道の駅「奥久慈 大子」でトイレを済ましてスタート。奥久慈しゃも、奥久慈りんごが特産品ですが、マニアックな硯の産地でもあるようです。
最初の目的地は、有名な袋田の滝。観光ルートの県道342号線ではなく、滝川右岸の地元道を行きます。
8:26@袋田の滝の観瀑台へはトンネル(入場料300円)で行きます。このパターン、新潟の清津峡と同じだぞ!と嫌な予感。
「光のトンネル」は微妙でしたが、観瀑台からの景色は良好でした。ほとんど観光客はおらず、撮影チャンスだったのですが、あいにく完全な逆光、とてもまともな写真を撮れませんでした。となれば、有名観光地には長居は無用と奥久慈グリーンラインへと向かいます。
9:00@グリーンラインへの移動は、旧道を利用したショートカットルートを採用したのですが、その入口には通行止めの看板がありました。しかし、ガチにクローズしている雰囲気はないので、とりあえず行けるところまでチャレンジします。
廃道感がプンプン漂う道に、いきなりの「16%」の標識。袋田集落を見下ろす位置へ、一気に上昇します。
通行止めの理由は、路面崩落でした。ルートとして既に国道461号線が整備されているので、旧道の廃道化は確定でしょうか。
落ち葉に埋め尽くされた道を上って行くと、月居山(つきおれやま)登山口がありました。この月居山登山口が、旧道の最後の存在価値となっているようです。
9:18@月居隧道に到着。明治19年完成の古いトンネルです。現在は、国道461号線の新月居トンネルがこの真下を貫いています。轍の跡があったので、この月居隧道はまだ利用されているようです。
月居隧道の内部はドライで、障害となるような落下物や堆積物もなく無事通過。道なりに下っていくと奥久慈グリーンラインとクロスしますが、ここは直進して一本先の林檎園が連なる地元道を走ります。奥久慈では、林檎を木の上で完熟させてから収穫するそうで、林檎の甘酸っぱい香りが周囲に漂っていました。
9:33@林檎園の丘に別れを告げ、奥久慈グリーンラインに復帰します。「奥久慈グリーンライン」と簡単に記述していますが、茨城県の「奥久慈グリーンライン林道整備事業」により整備された林道水根持方線と林道武生線が本日のルートです。「武生」は「たきゅう」と読むそうですが、とても読めません。
水根持方線は、幅員も広く、路面は滑らか、眺望を考慮して伐採してあるなど、林道というよりも観光道路レベルの道。交通量は、極めて少なく、稀にドライブの車とすれ違う程度。勾配はタフで10%超区間が次々と現れます。しかし、最高到達点が標高500m付近なので、激坂が延々と続くというわけではなく、何とかなります。
10:04@ピークを通過すると、北西方向への視野が開けました。八溝山はどこだろう?と思ったのですが、サッパリ分かりません。
10:14@一気にダウンヒルして行くと、オープンスペースに出ました。奥久慈男体山(標高654m)の登山口、トイレもあります。グリーンラインは、この男体山の北東側に位置し、本日後半に予定しているパノラマラインは南西側となります。
持方集落の碑に腰を下ろして休憩です。気温が上昇してきたので、ここでネックウォーマーと冬用手袋はお役御免となりました。
グリーンラインを先へ進むと、山の斜面に10軒程の集落があります。それが、”にほんの里100選”にも選ばれている持方集落でした。集落内を通過するようにルートを作成するべきだったとちょっと後悔。
持方集落を過ぎると道は再び上りに転じ、林道武生線となります。日差しタップリの南斜面の道は、林道というよりも奥久慈スカイラインといった感じです。
10:55@2つ目のピークを上り切ると奥久慈見晴台。せっかくの場所ですが、周囲の木々が邪魔して見晴らせません。完成当時の写真を見ると180度を見渡せる景色なので残念です。
11:07@奥久慈グリーンライン展望台。この先にも宝剣洞展望台があり、やけに展望台の多い林道です。この展望台も老朽化が進んでいて、一部立ち入り禁止のロープが貼られていました。この手の設備、造った後どう維持するかが課題です。
急な下り坂の途中で神社の鳥居が唐突に出現します。武生神社です。興味を惹かれましたが、鳥居の先の強烈な登坂を見て参拝は諦めました。
11:15@前方が封鎖されて通行止めとなり超高規格林道もここで終了。武生線は、まだ施行中の路線で、最終的には竜神ダムの付近まで延伸されるようです。赤い矢印の方向には、切り通しの道がありました。
ここから本来の武生林道です。幅員、路面状況とも林道らしくなります。
11:22@一気に下って県道33号線(常陸太田大子線)に到達。林道武生線の標識がひっそりとありましたが、r33からアクセスする際は「武生神社入口」の石碑の方が目印です。
龍神大吊橋入口でr33を離脱してヒルクライム開始。覚悟はしていましたが、ここも10%超区間です。観光地のため交通量があり、左カーブではインに追い込まれ、苦行でした。
11:40@龍神大吊橋。長さ375m、湖面からの高さ100mと迫力があります。この橋からのバンジージャンプは日本最大級の落差、マンションの30階から飛び降りる感覚だそうです。
通行料320円を払い、対岸へと向かいます。苦手の吊り橋ですが、全く揺れを感じずスタスタと歩けます。竜神峡と竜神ダムを見下ろせますが、紅葉には少し早く、色彩的には今一つです。
これは、何か判りますか?
吊橋の床面がアクリルガラスとなっている部分があり、下の景色を見ることができます。幾何学模様のように見えているのは、カヌー乗り場です。
このエリアの各所で「新蕎麦」の看板があり、唆られましたが、時間に余裕がなく先を急ぎます。
12:36@今回のルートで唯一のコンビニ、セイコーマート水府中染店。ここが中間折返し地点です。龍神大吊橋からここまで、山田川右岸のr33を走りましたが、途中チラチラと見えた対岸の地元道は、とても雰囲気があり魅力的でした。このルート、まだまだ工夫の余地ありです。
パノラマライン編へ続く。