東俣林道で大井川源流域へ
6月3日(日)、梅雨入り前のラストチャンスを捉え、オクシズ東俣林道へ大井川源流域を巡る探検に行ってきました。
今回のコースは往復56kmのフルダートです。スタート地点の畑薙第一ダムが標高970m、折り返し地点の二軒小屋付近は1,410m、標高差は大きくはありませんが、途中に微妙にアップダウンのあるコースです。往路5時間、復路3時間の8時間、プラス休憩1時間で合計9時間というのが、ざっくりした計画です。往路を時速6kmで進めるかが鍵で、難所と思われる牛首峠まで3時間を目安としました。
スタート地点に至るまでの苦労は、こちらで紹介した通りです。
7:12@畑薙第一ダムを出発しました。標高1,000mですので、気温は14℃。長袖のアンダーと登山用のタイツを着用してちょうどいい感じです。食料だけは、たっぷり(おにぎり x 4、4ヶ入りミニあんぱん x 1、エナジーゼリー x 2、缶詰 x 1)準備しました。
7:18@沼平ゲートはまだオープンしていません。ゲート脇が狭くて、通り抜けにちょっと苦労します。私は、畑薙ダムに車を駐めましたが、このゲート手前にも駐車場がありました。こちらの方が駐車可能台数が多く、ポピュラーなようです。
ゲートから100mも進むと、未舗装路となります。今日の冒険の始まりです。
まずはアップダウンのある湖畔のダートを進みます。写真では伝えきれていないのですが、とにかく景色がでかい!ダム湖を囲む山々の大きさは尋常ではなく、大迫力で迫ってきます。
路面は小石混じりの土の道ですが、注意すべきは多数の穴ぼこです。穴を避ける走行ラインを求めて、路面に全力集中でした。この2日間晴天が続いているので、水溜りの数は少なくラッキーでした。水溜りの数が増えると難易度がグググッとアップしそうです。
7:57@畑薙橋に到着。ここで河川パトロールの車両が追い抜いて行きます。車両規制されているので、この林道で遭遇するのは、河川パトロールと登山者送迎用の車だけです。
あれ?
あれれ???
最初のランドマークの大吊橋は???
どうやら路面に集中するあまり、大吊橋を見逃したようです。大吊橋には、帰路に立ち寄ることにして先へ進むしかありません。
畑薙橋の先から路面は少しガレ始めます。この3ヶ月のグラベル修行で、ガレガレ道をたっぷり経験した成果で、乗車には全く問題を感じないレベルです。
8:17@中ノ宿吊り橋。ここまでは、時速6km以上で走れているようです。
実は、私、軽度の高所恐怖症のようです。特に吊り橋は、高さに揺れが加わるので苦手です。とはいえ、オクシズ名物の吊橋ですので、チャレンジしない手はありません。
三分の一くらいで撤退しました (^_^;)
揺れる吊橋から下を見ると、川原の砂地部分に、たくさんの野生動物の足跡がありました。でかい足跡はクマでしょうか?
道端に駐められた自転車、それも電動クロスバイクを数台見かけます。はじめは登山の人の自転車かと思いましたが、周囲に登山道らしきものが見当たらず、不思議に思っていたのですが、この場所(川へ下る道)を見て、釣り人の自転車と納得しました。
道は、斜度のキツイところはガレていますが、定期的に車両が走っているおかげで、走れるラインがどこかに存在します。車を気にする必要はないので、道幅いっぱいを利用して、右に左に位置を変えながら進みました。
グネグネのガードレールが、この場所の自然の厳しさを物語っています。道は、単調に上り続けるのではなく、標高1,100m付近でアップダウンを繰り返します。ということは、帰路に上りがあるということですね。やだなぁ、、、
大井川源流から赤石沢に入ると、前方に雪の残る高い山が見えてきました。そして、手前の山の中腹にはトンネルが見えます。この辺りで通過するトンネルは、赤石ダムのトンネルだけなのですが、ダムの姿はどこにも見えません。おかしいな〜、またミスったの〜 と心配になりました。
9:14@突然、舗装された路面が現れ、その先のカーブを曲がると赤石ダムが見えてきました。ホッとすると同時に、聖岳(3,013m)がド〜ンと目に飛び込んできます。(私は、すっかり聖岳と思い込んでいたのですが、この位置から見えるのは上河内岳だそうです。)
これまで遥か遠くに眺めてきた南アルプスを、こんなに近くから、こんなにクリアに見ることができるとは、感激でした。このカーブの所には、休憩所が設けられており、ベンチがあります。腰を下ろして、おにぎりを一つ食べました。
9:24@ほぼオンタイムですが、余裕はありません。牛首峠を目指し出発します。
赤石トンネルには照明がありません。ライトを点灯して突入。路面は綺麗ですが、センター付近に砂と小石が堆積していて、そこにタイヤが乗ると、ザ、ザ、ザザーと大きな音がして、ドッキとします。
トンネルを抜けるとダム湖に出ました。チンダル現象による青い湖です。残念ながらダム堰堤の上には行くことはできません。
9:39@新聖沢橋で井川聖沢川を超えます。
左だり側に見えるガードレールの位置からすると、いよいよ厳しい上りが始まることがわかりました。
少しガレた道を新聖沢橋から見えたガードレールのところまで上ると、チンダル現象の印象的な景色に出会えます。
9:51@赤石沢発電所のところも舗装路です。このパイプに水を流して発電するのでしょうか?
発電所を過ぎると、フラットダートとなりました。牛首峠へ向けての厳しい上りが始まると思っていたので、???となります。
いつのまにか渓流沿いを走っています。水量豊富な勢いのある流れなので、ちょっとビックリ。
10:07@少し先で、水量が豊富な理由が判明。水が人工的に放水されていました。それにしても、どこからきた水なんでしょうか?
この放水地点から道は上りに転じます。
10:11@アレ、牛首峠だ。確かに斜度10%超の区間がありましたが、思っていたよりもあっさり到達してしまいました。予定通り3時間、この辺りが中間点です。
南アルプスの盟主、赤石岳(3,121m)がバッチリ見えます。この季節に、これだけクリアに見ることができて幸せです。
牛首峠でようやく標高1,200mを超えたのですが、道は、また下りとなります。すぐに椹島(さわらじま)ロッジへの分岐点です。ロッジには帰路時間があれば立ち寄ることにして、先を急ぎました。
10:20@ガレた道を下りきったところが滝見橋でした。ここで再び大井川源流に復帰します。
滝見橋の名前の通り、この林道で最大の滝(名称不明)がありました。滝の直下まで歩道が設けられていましたが、ここも時間の都合でパスします。
橋を通過すると、再び、ガレた上りとなります。牛首峠よりも、ここの区間の上りの方が、私には厳しかったです。
10:43@木賊(とくさ)堰堤。水の色がコバルトブルーになってきました。
先人のブログに大井川源流を背景に自転車を撮影している写真があり、どんな場所なんだろう?と思っていたのですが、謎が解けました。沢筋を道が横切る箇所で、視界が開けます。
路面のガレ度は低下し、林間の小石混じりのダートとなってきました。林間の道は、コントラストが激しくて、路面がよく見えません。時々、穴ぼこを回避できず、ガックンとなるのですが、グラベルキングSK 32Cのエアボリュームのおかげでパンクは免れました。ちゃんと測定していませんが、タイヤは、5気圧弱くらいの設定です。チューブレスならばもっと大胆な設定も可能なのですが、クリンチャーなので怖くてこれ以上は低くできませんでした。
10:58@沼平ゲートから21km地点(小さな標識があります)が、この閉ざされた橋でした。残り7kmとするとまだ1時間かかりそうです。休んでエネルギー補給したいところですが、手頃な場所もなく、エナジーゼリーを立ったまま飲んで、二軒小屋を目指しました。
この付近には、何箇所も管理釣り場が設けられていました。この水色の幟が目印です。
釣り場ということは、川に接近できるということなので、自転車を停め、探検してみました。川面と同じ位置から見ると、やはり景色が違います。
道は渓流沿いの林間をゆったりと上っていきます。
沢筋が横切る場所は、樹木は全て流されてしまい、オープンな空間となります。
たくさんの流れ込みがありましたが、この場所は特に苔むしていました。
沢からの大量の土砂の上に切り開かれた道。ここは、大雨が降るたびに重機で道を切り開くのでしょう。
11:28@この場所も先人のブログで見た景色。カラマツ、シラビソといった高地の植生に囲まれた幻想的な一本道です。フラットな直線路に見えますが、実は上り坂です。20km以上グラベルを走ってきた体には、少し堪えます。
ついに、田代ダム(左)と二軒小屋(右)の分岐点に到達。空腹なので、まずは二軒小屋で昼食です。
11:52@二軒小屋。風雨にさらされ、ボロボロになった山小屋をイメージしていたのですが、近代的な高原ロッジ風の建物が現れ、驚き!
山小屋の人に、食事の提供はあるのですか?と尋ねると、宿泊の夕食、朝食のサービスのみ、水場は利用してもOK とのことでした。
芝生に設置されたベンチを利用させてもらい、昼食にします。今回は昼食に一工夫。おかずに缶詰があるだけで、食事が数倍豊かになりました。焼き鳥のタレも、ご飯に絡ませて、綺麗に完食です。
12:25@ここで日がなボンヤリしていたいくらい、素敵な場所だったのですが、まだ、田代ダムが残っています。名残惜しいですが出発します。ここで、本日初めてサイクリストとすれ違いました。グラベルロードとマウンテンバイクの二人連れです。
二軒小屋からも轟々と音が聞こえていた滝。自然の滝ではなく、ダムからの放水による人工的な滝だそうですが、見応えがあります。
ダム本体は、時代を感じさせる建造物です。ダム自体からは、水はちょろちょろとしか流れ出ていません。
ダム湖を見学するためには、このゲートを通過する必要があります。千枚岳への登山道がゲートの先にあるので、車両規制用のゲートと解釈して先へ進みます。
本日一番の斜度の上り(距離は短い)を頑張ってクリアすると、コバルトブルーのダム湖を見ることができました。水自体の透明度は非常に高いのに、驚くべき発色です。こんな景色を独り占めさせていただきました。
この先、道は大井川の東俣と西俣の分岐点へと続いているはずですが、ここで引き返すことにします。
田代ダムでは工事が行われていて、仮設の橋が架けられていました。湖岸を整備している雰囲気ですが、ここは観光地にはして欲しくありません。
12:55@田代ダムを出発、帰路のスタートです。下り基調でスピードが出ますが、林間は明暗差が激しく路面がよく見えないため、迂闊にはスピードを出せません。
13:52@牛首峠を通過。滝見橋から牛首峠までの上りは、しんどかったです。やはり、椹島ロッジに立ち寄る時間はなく、パスせざるを得ません。
14:16@井川聖川の合流ポイント。光線の具合で水の色が朝とは違っています。
14:22@赤石ダムが見えてきました。ダムの休憩ポイントで一休みして、最後のおにぎりを食べます。4個のおにぎりを完食してしまいました。
15:29@往路で見落とした畑薙大吊橋。どうしてこれを見落としたのか、わかりません。
写真撮影のためにちょっとだけ渡ってみましたが、揺れますよ〜この橋は、、、
15:43@オープンしている沼平ゲートに到着。58kmに及ぶ未舗装路を乗車率100%で完走できました。オフロード対応のタイヤを装着できれば、ロードバイクでも走破可能と思われます。事前に、白銀林道あたりを試走して、自分で対処可能なガレガレ度を把握しておくことがお勧めです。
15:46@ほぼ予定通りの時間で走り切れたので、余韻を楽しみながら畑薙ダム湖畔を駐車場へ向かいました。
この後、自転車を車に積み込み、この日の宿を予約した寸又峡温泉に向かいました。が、直線距離であれば20kmの移動に2時間弱を要し、宿への到着は18:00となりました。恐るべしオクシズの道です。
実際に走ってみて、先人の方々が、この東俣林道を何度も訪れる理由を体感できました。自然との一体感が半端ない林道です。秋の紅葉シーズンに是非とも再訪したいところですが、アクセス難度、日照時間、私の脚力を考えると、二泊しなければ無理そうです。
走行距離:58km、獲得標高:912m、消費エネルギー:1,696kcal