秋山郷への道:越後湯沢〜切明温泉
三年ほど前から紅葉の秋山郷を旅することを検討し始めました。昨年は宿の手配までしたのですが、天候に恵まれずに三日前にキャンセル。今年こそと思っていると、台風19号により雑魚川林道(秋山林道)が通行止。計画していた志賀高原からのルートがNGとなり、今年も成就できない雰囲気が漂っていました。が、10月末から11月の三連休にかけて晴れの予報、紅葉もちょうどピークを迎えそうです。この機会を逃すわけにはいかないぞ!と宿を手配、何とか11/1(金)に切明温泉に宿を確保しました。ところが、2日前になって11/1午後に雨マークが出現。太平洋側は、安定した晴れが続きますが、日本海側は、寒冷前線の通過に伴い午後だけ天気が崩れる予報です。どうしようかと迷いましたが、翌11/2(土)の晴れマークを信じ、雨を覚悟で決行することにしました。
6:07@とき301号。北陸新幹線と同じく、東京出発時点では自由席はガラガラ、大宮で新幹線通勤の人がどっと乗ってくるというパターンです。
7:49@越後湯沢駅前。駅前の足湯の一角で撮影。この後、コンビニで食料を調達して、実際にスタートしたのは 8:00頃となりました。実は「私をスキーへ連れてって」の世代なのですが、スキーには縁がなく越後湯沢も初めてす。あの頃、皆んなが騒いでいた苗場の最寄駅はここかぁなどと思いながら温泉街を流しました。
ガーラ湯沢を通過するとドピューンと下って国道17号線へ、ん?、ということは帰路は上るのね。それにしても素晴らしい天気です。これで午後から雨とは、どうにも信じられません。
8:33@石打の集落を抜け、国道353号で一路津南へと向かいます。
新幹線の高架の下に設けられたミニトンネル。「雪覆道(せつふくどう)」という熟語は初見でした。スノーシェッドのことなんですね。
十二峠を目指して斜度10%超の上りです。スノーシェッド連続区間が見えてきました。厳しい上りとトンネルという最悪の組み合わせですが、少ない交通量に救われます。
十二峠雪覆道から十二峠トンネルに接続、トンネル部分となって、ようやく斜度が緩みます。
9:05@長いトンネルを抜けると十日町市。全国的に存在する「X日町」という地名は、毎月X日に市が開かれていた事に由来するのだそうです。
トンネルからすぐに魚沼スカイラインの分岐です。魚沼スカイラインが厳しいことは知っていましたが、その入り口に至るまでもなかなかです。
十二峠からは清津川を目指してグイグイ下ります。
9:18@清津峡の入り口に位置する小出集落が見えてきました。清津峡はパスして先を急ぐ予定でしたが、トイレに行きたくなり予定変更。
台風の影響を感じさせない澄んだ水が流れる清津川。日本三大渓谷の一つでもあり、期待度Max.です。
入場料600円を払ってトンネルを進みます。平日の9時ですが、既に観光バスの第一陣が到着しており、周囲から中国語が聞こえてきます。
長いトンネルの先には絶景の渓谷が、、、と期待していたのですが、トンネルの出口部分は、深さ10cmほどのプールとなっていて、トンネル開口部に行くことができません。
何これ?渓谷が見れないじゃん??
おかしいな?と思いつつ少し立ち位置を変えてみると、こんな景色が浮かび上がりました。
まるで場末の観光地の秘宝館です。正直、こんなトリックアート的景色は期待していませんでした。いささかムッとしながら足早にトンネルを引き返しました。
津南へのメインルートは清津川右岸を行くR353ですが、地図上、左岸にも道があります。どうせなら交通量の少ない道の方が気分が良いだろうと、小出集落からこの左岸の道に入りました。
10:12@集落を抜けると斜度10%が待っていました。あ〜あ、やっちまったな〜とこの坂道を上って行ったのですが、、、ここから若干記憶が飛びます
気づくとガーミンにコースアウトの文字が表示されていました。分岐が存在したような記憶がありません。おかしいなぁと思いつつも気分は上々、山道をズンズンと上って行くと周囲の森が紅葉してきました。
10:36@スマホで位置を確認すると、現在位置は清田山中腹。予定ルートから完全に逸脱しています。
分岐なんて絶対に無かったぞ!と思いながら引き返すと、なんでこれを見落としたのか?というレベルの分かれ道が、、、どうやら小出からの斜度10%の最中にアドレナリンが大量放出され、ヒルクライムハイな状態に陥ったようです。このため分岐があってもより斜度の厳しい道しか見えなくなったようです。恐るべし脳内麻薬!
とんだミスコースで貴重な時間をロスしてしまいましたが、清津川左岸の道は正解でした。交通量も極小、かつ、眺めの良い広域農道でお勧めです。
道は、県道284号線に接続し、幾つかの集落を抜けて国道117号線に至ります。
幹線道路であるR117は、殺伐としていて楽しく無かったのですが、路肩に展望スペースのような場所があり、信濃川を一望できました。長野県内は千曲川、新潟に入ると信濃川です。
R117沿いのコンビニで昼食を取っていると、灰色の雲がジワジワと接近してきます。
12:05@津南の中心部で国道405号線に左折し秋山郷へと進路を取ります。どうやらこの日の天気予報は当たりです。宿泊地の切明温泉まで残り30km、どこかで雨雲に追いつかれそうです。
12:40@見玉まで来ると紅葉ど真ん中の景色が広がります。が、ゆっくり紅葉見物している余裕がありません。
12:43@中津川第一水力発電所と穴藤(けっとう)ダム。チンダル現象で水が青緑です。
13:39@結東(けっとう)集落を通過し、はちみつ生蜂園付近まで辿り着いたところで、ついに雨粒が落ちてきました。木の下で雨に備えて持参したパーカーに着替えます。素材としてはゴアテックスですが、レインウェアではないのでどこまで持つか心配です。
雨は降ったり止んだりを繰り返します。紅葉真っ盛りなのですが、暗雲が立ち込め、冷たい風も吹いてきて、悲壮感が漂ってきました。
13:52@前倉橋を通過。晴れていれば、へいけ茶屋で一休みなのですが、先を急ぐしかありません。
前倉橋から大赤沢までが、この日最強の上り区間。後半の斜度14%ゾーンは、押して這い上がりました。
大赤沢からは弱雨が降り続き、ついに写真も無くなります。切明温泉まで4kmの標識を確認してからが、ものすごく長く感じられました。
15:40頃@切明温泉雄川閣(写真は翌朝撮影)に到着。越後湯沢から自転車で来たと告げると驚かれます。ずぶ濡れ、ドロドロの自転車も快く屋内に置く場所を確保して貰えました。そしてこの後入った温泉は極楽、さらに夕食には熊肉が供されます。人生初の熊肉でしたが、臭みはなく、家畜とは別次元の美味を堪能しました。
こんな苦労がありましたが、翌日は期待以上の晴天に恵まれ、最高の思い出となりました。
この日のルートマップです。道を間違えた部分も含んでいますので要注意です。
走行距離:68.1km、獲得標高:1,667m、消費エネルギー:2,068C