2019-紅葉狩りライド:蒼天の秋山郷を行く
11月1日(金)から一泊二日で信越県境に位置する秋山郷へ行って来ました。秋山郷は、苗場山と鳥甲山の間を流れる中津川の谷筋に点在する集落の総称です。平家の落人伝説の地であり、日本の秘境百選の一つです。まずは超好天の11月2日(土)に走った切明温泉から津南駅区間の紅葉狩りライドをレポートします。11月1日に走った往路は、別途「秋山郷への道:越後湯沢〜切明温泉」としてまとめる予定です。
私は切明温泉で一泊しましたが、津南駅から日帰りで往復する場合、距離74km、獲得標高2,000mクラスのタフなルートになります。標高の割にUpDownがあり、随所に斜度10%超区間が存在します。
今回のルートはビューポイント満載です。次回の訪問に備え、標高図にポイントを書き込み、忘備録としました。
8:15@秋山郷最深部の栄村切明温泉をスタート。気温5℃、真冬の寒さです。ボトルには宿の水道水を充填。水道水といっても「津南の水」そのもの、美味しい超軟水です。
谷底の切明温泉から国道405号線分岐まで、いきなり斜度10%超の上り坂です。頑張って這い上がりましたが、前日の疲れが残る脚がさっそく悲鳴を上げました。この日のために二週間に渡って地元でロングライドを行い準備したのですが、付け焼き刃ではダメでした。今日のゴールとして越後湯沢を予定していましたが、そんなの到底無理だぞ!と思い知らされます。ゴールを飯山線津南駅に変更して、秋山郷を堪能することにします。
この分岐はどちらに進んでも先で合流します。和山・小赤沢の道は前日走って来たのでR405方面を選択したいところですが、林道風情の10%超の上りが立ちはだかります。和山・小赤沢の道もUpDownがあり決して楽ではないのですが、少なくとも路面は整備されていました。余裕のない脚の具合を思い、和山・小赤沢方面の道を選択します。
そして雨上がりで澄んだ空気の中、紅葉の森の先に鳥甲山が姿を見せました。いきなりテンションMax.の感動の景色です。
8:51@和山温泉入口。鳥甲山(標高2,037m)の全景が見えてきました。南北に尾根を広げたカッコいい山姿、東面の切り立った断崖により第二の谷川岳とも呼ばれる山です。
和山温泉入口からは、再び10%の上り坂。体が少し温まってきたので、ゆっくりとならばペダルを回せるようになってきました。
9:13@栃川高原キャンプ場の所で先ほど分岐したR405と合流します。栃川高原のブナ林を見るためにR405方面へ寄り道しました。これぞ秋の森!です。
9:25@栃川橋。栃川高原から強烈なダウンヒルです。前日はこの区間を泣きながら上りました。
さらに進むと鳥甲山の全てを真正面から捉えられる場所がありました。今回のBest Shotもこのポイントで撮影しています。
9:45@上ノ原集落の入口。ここから1km先の天池を目指しますが、またもや斜度10%超の試練が襲い掛かります。
白樺の林が見えて来ると斜度も緩みます。
9:57@天池に到着。この絶景ポイントを順光で撮影できるのは午前中、かつ、鏡の水面を狙うとなると、9時に到着したかった場所です。少し風が吹き始めて漣が立ち始めた所でしたが、ギリギリセーフでこの一枚を撮影できました。
天池の隣にもう一つ池があり、こちらも撮影ポイント。しかし、風の影響を受けやすく、既に水面がざわついていました。天池を出発する頃にマイクロバスが到着、一眼レフに三脚を抱えたおじさん達がゾロゾロと下車して来ました。ちょっと遅かったようです。
天池の畔りのこのモミジが、最も紅く色づいていました。「今年はモミジが紅くなるのが遅れていて、先に冬が来て黄色で散ってしまうかもしれない 。」と宿の人も言っていました。今年の秋山郷の紅葉は、例年と比べ赤成分が少し不足しているようです。
10:35@屋敷温泉入口。計画では対岸の布岩に立ち寄り、苗場山の姿を撮影する計画でしたが、、、
布岩が対岸の同じ位の位置に見えます。あそこに辿り着くためには、標高差150mのUpDownをこなさなければなりません。さらにルートの都合上、現在位置に戻って来なければなりません。絶対無理!と諦めました。
布岩は、目一杯ズームで撮影して誤魔化しましたが、苗場山は、対岸へ移動しなければ撮影できません。困ったな…
10:49@小赤沢のとち餅大福で休憩。小赤沢は苗場山登山道の入口の集落ですが、苗場山は見えません。甘辛い味噌だれの焼き団子を食べながら店主に苗場山の話を聞きました。若い頃は、苗場山を越えて越後湯沢へ出るしかなかったそうです。山頂付近は急傾斜でとてつもなく大変だったと懐かしそうに話してくれました。
11:02@さかい橋。栄村(長野県)と津南町(新潟県)の境界です。
さかい橋からの斜度10%超区間を上り切った所で振り返ると、ようやく苗場山(標高2,145m)を拝むことができました。
11:09@大赤沢。蛇渕の滝はここから徒歩10分です。
森の中の階段を100段ほど下ると展望台があり、水量豊富な蛇渕の滝を見ることができます。しかし、この滝、周囲との明暗差が大き過ぎてうまく撮影できません。滝の由来は、現地で<熊取善吉の話>を読んでください。
大赤沢を過ぎると前倉橋へのダウンヒルが始まります。往路で最も辛かったのが、この前倉橋〜大赤沢区間です。
11:36@中津川の谷底に架かる前倉橋。
この朱色の橋は有名な撮影ポイントです。紅葉のピークでもあり、多くの人がここでカメラを構えます。
この日は、橋のたもとの「へいけ茶屋」で昼食と決めていました。岩魚定食(税込1,300円)を注文。主品の岩魚より強く主張する山盛りの山菜、味噌汁の具はしめじ、地元産100%(蜜柑を除く)の定食です。美味しくいただきました。
12:15@前倉橋を出発。当然ながら津南方向も斜度10%の上り坂です。しかし、この付近がちょうど紅葉のピークとなっており、撮影&休憩を繰り返しながら進みました。
斜度が緩んだ辺りで再び苗場山を確認、別れを告げます。
はちみつ生蜂園の前を通過すると見玉までの長いダウンヒルが始まります。が、周囲の山々は紅葉のピーク、ついつい脇見をしがちで危険です。
12:55@結東集落。結東の石垣田の案内板がありましたが、既に稲刈りも終了しているのでパスしました。全国農村景観百選に選ばれる美しい棚田とのことなので、田圃が美しい季節に立ち寄りたい場所です。
13:14@猿飛橋の分岐。見物するには谷底まで下らねばならないのでパスしようと思いましたが、案内板に200mと書かれていたので自転車を置いて徒歩で偵察に行きました。少し下ると見えてきたのは普通の橋で、ちょっと拍子抜け。江戸時代の旅行記には、腹ばいになり冷や汗を流しながら一本橋を渡ったと記されているそうです。下を流れる中津川はチンダル現象の水色、これは見る価値ありでした。
13:46@秋山郷の入口となる見玉集落。早朝は5℃でしたが、この時間は日差したっぷりで暑いくらいです。直売所でソフトクリーム休憩。停まったついでに、日本最大級の段丘崖「石落とし」を見学。スゲーとしか形容できない、大迫力の絶壁でした。
見玉から再び上りとなりますが、これが本日最後の上り坂となります。なんとか脚は持ちこたえてくれました。
14:09@純米吟醸「霧の塔」の製造元である津南醸造を通過。津南の平野部?(扇状地?)が見えてきます。
秋成地区に入ると直線的な緩い下り坂となります。今回の旅も大詰めが近づいてきました。
14:30@津南町の中心街を通り抜け、中津川と合流した信濃川を渡ったところに津南駅はありました。次の十日町行きは14:33、とても輪行の準備ができず見送るしかありません。見玉で時刻表を調べたので分かっていたのですが、次の列車は17:07です。普通ならば絶望的な2時間半の待ち時間ですが、この津南駅には秘策があります。なんと日帰り温泉を併設しているのです。暢んびり温泉に浸かり、休憩室で昼寝をして時間を潰しました。
飯山線、ほくほく線とローカル線を乗り継ぎ、越後湯沢まで移動。上越新幹線はほぼ満席でしたが、かろうじて最後部の3列シートの定位置に自転車を格納、座って帰京しました。
走行距離:37.3km、高度上昇:582m、高度下降:970m、消費エネルギー:872C
*高度上昇、下降はガーミンの数値なので、精度はいまいちです。高度補正をオンにすると上昇741m、下降1,401mとなります。
ほぼ一本道ですが、この日のルートを作成しました。台風19号で雑魚川林道が通行止となっており、現在、カヤノ平や志賀高原へ抜けることはできません。この区間を走行できれば、志賀高原を経由して渋峠に至る夢のルートも作成可能です。