ぶどう峠を超えて佐久平へ、帰路は田口峠、そして塩ノ沢峠は、、、
昨年から開始した西上州の峠攻略ですが、大物がまだ手付かずです。西上州と信州佐久平の間に存在する峠越えルート、もっとも有名なのは武州街道(国道299号線)の十石峠ですが、残念ながら防災工事のためH30.12.26まで通行止めです。矢弓沢林道を経由して迂回すれば十石峠に到達できますが、やはり武州街道を体験したいので、今回は対象から除外しました。となると狙うはもう一つの大物、ぶどう峠です。今回は、伊豆中年ライダーさんのブログ記事を参考にルートを設定しました。上野村からぶどう峠を超え、佐久平へ下り、田口峠、塩ノ沢峠を経て戻るという走行距離100kmの山岳ルートです。最後の塩ノ沢峠は、いざとなれば湯の沢トンネルでショートカットするという保険付きですが、私の走力を考えると、そもそも無理じゃない? とドキドキです。
今回の遠征には、もう一つ目的がありました。御荷鉾スーパー林道の残り半分にチャレンジするために、国道462号線の状況を把握することです。地図とストリートビューから想像するのと現地を見るのでは大きな違いがあります。案の定、下久保ダムへの上り坂は、私にはストレスフル(狭い路肩と交通量)であることが判明。これで、鬼石周辺をベースにする案に赤信号が灯りました。
8:14@道の駅「上野」をスタート。実は、本格的ヒルクライムの前にウォームアップする区間が必要と思い、起点として神流町恐竜センターを狙っていました。しかし、開場前の恐竜センター駐車場にはロープが張られていて入れず、道の駅「上野」が本日のベースとなりました。まあ、結果として距離の短縮となり正解でした。
スタートして間も無くこんな景色となります。ここで失敗したのが、振り返らなかったことです。このポイントで振り向けば、100m上方に、上野スカイブリッジが見えたのです。帰路、ここを通過した時に気づいたのですが、すでに薄暗く、時遅しでした。
8:37@川の駅「上野」を通過。道の駅より駐車スペースが広くて整備されていますが、ここを起点とするとウォームアップなしでヒルクライムスタートとなります。
川の駅のすぐ先で、R299からぶどう峠へ向かう県道124号線が分岐します。案内板では橋の手前を左折ですが、今日は旧道を行きます。
8:41@旧道は赤い楢原橋の先で左折し、茶色い橋を渡ります。
すぐに新道と合流してしまう短い区間ですが、正解でした。静かだし、こちらの方が斜度も緩い。
8:49@十石峠への迂回路となっている矢弓沢林道の入口を見るために、再び旧道に入ります。
矢弓沢林道の入口です。写真を撮っていると、バイクや乗用車が次々と降ってきました。この付近の古い標識には、「武道峠」と記されています。何故、「ぶどう峠」とひらがな書きにしたのでしょうか?ひらがなだと「葡萄峠」と勘違いしそうな気がします。
8:59@上野ダム、御巣鷹の尾根方面への道との分岐点。ぶどう峠へ向かうK124は、直進です。
序盤は、神流川の支流、中ノ沢を緩々と上って行きます。連休の中日とあって、5分間隔でバイク、乗用車と遭遇します。
中の沢は、上野村の自然が生み出す美しい渓谷でした。自然保護にも力が注がれていて、事前予約が必要な毛バリ専用釣り場(キャッチ&リリース、シングルフック使用)となっていました。付近での焚き火、バーベキューなども禁止です。
9:32@徐々に渓流から離れ、高度を上げるとゲートが登場。冬季は、このゲートで通行止めとなります。
ゲートを過ぎると、ガーミンが斜度10%を頻繁に表示するようになります。写真を撮っていると「こんちは!」と声がしてびっくり。この日、そこそこの数の自転車とすれ違いましたが、追い抜いて行った自転車はこの一台、あっという間に見えなくなりました。
9:42@視覚的に厳しさを感じてしまう頭上の白いガードレール。プレッシャーを感じると同時に楽しくなってしまうのは、変態化の兆しでしょうか。
9:50@先ほど見えたガードレールのところまで上ると視界が開けます。この谷筋を遡って来たことが、よく分かります。
10:04@再び、視覚的に動揺を誘う角度のガードレールが見えてきました。実際は、写真を撮影している場所も斜度10%、視覚的に厳しく見える前方のガードレール区間も10%でした。
10:12@三度目の揺さぶりだ〜と思ったら、このターンで前半の10%区間は終了、少し休める斜度になります。
10:35@下り坂が登場。少しだけ下ると、後半の10%区間が始まりました。訂正、10%ではなく10%超です。
前半の10%区間より厳しいです。次のコーナーを曲がれば峠じゃないかと期待したくなる状況ですが、ぶどう峠の標高は1,500m以上と事前学習してあったので、ガーミンが表示する高度を確認しながら、まだ、まだ、まだ、と冷静に進みました。
10:42@K124には、写真の「15」のような番号標識が設置されています。どうやら*km地点を示しているようですが、一体何番までクリアすればぶどう峠に到達できるのか判らず全然役に立ちません。ちなみに今回「16」までの存在を確認しました。
10:58@10%超区間の終わり直前で、小さな祠が現れます。日航機墜落事故の慰霊の祠です。横に「前方御巣鷹山」と記された立て札がありました。風雨に晒された立て札は、文字が判別し辛くなっており、事故からの時間経過を感じました。
11:02@県境に到着。10m先の小さな広場に峠の石碑とお地蔵様があります。ベンチとテーブルもあり、腰を下ろしてエネルギー補給することができました。峠を吹き抜ける風で一気に体が冷えます。慌ててウィンドブレーカーを着込みました。
峠からは、八ヶ岳方面が見えるのですが、カラマツが微妙に視界を遮ります。
11:23@信州小海を目指しダウンヒルを開始。早くも紅葉した木々に秋を感じます。
11:34@加和志湖。小さい湖ですが、渓流が注ぎ込んでいるので、クリアな水を満々と湛えていました。
11:43@人里に到達、北相木村の最奥部の集落です。群馬側よりも空が広く明るい。
12:17@K124から県道2号線へスイッチ。小さなトンネルを抜け、小海の市街地に飛び込んで行きます。ぶどう峠に信州側からのアプローチするコースは、群馬側ほど斜度は厳しくないものの、距離は長いです。
12:19@八ヶ岳高原線小海駅。ローカル線の小さな駅舎を想像していましたが、全く違いました。ちょうど昼食時、駅前には飲食店が数件ありましたが、まだ、峠越えが2つ残っています。冷静に考えると時間がありません。先を急ぎました。
交通量が多い国道141号線を避け、線路と並行に走る県道2号線(川上村から佐久へ通じる地方主要道)を利用しました。期待通り交通量は極小です。佐久平は移動区間と割り切っていたのですが、景色に変化があり、飽きませんでした。
K2の欠点は、コンビニがないことです。これは、事前のリサーチでわかっていたので、海瀬でR141に移動して、コンビニに立ち寄りました。ここで最終決断をします。予定通り田口峠、塩ノ沢峠へ向かうか、それとも十石峠に向かうかです。後者の方が距離が短く、獲得標高も少なくて済みます。
13:15@予定より少し遅れ気味ですが、湯の沢トンネルという切り札があるので、田口峠に挑戦することにしました。再び、K2に戻り、臼田を目指します。
13:31@時間が押していますが、臼田で龍岡城に立ち寄りました。三河国奥殿藩主の松平乗謨(のりかた)が、幕末に築城した城で、日本に二つしかない五芒星形の西洋式城郭の一つだそうです。もう一つは函館五稜郭ですね。
龍岡城址に近づくとたくさんの車が駐車しています。ここは人気の観光地なのか?と思ったら、秋の運動会でした。城址跡は、小学校の校庭となっていました。
龍岡城見学は早々に切り上げ、田口峠へ向かう県道93号線を目指しましたが、向かい風の攻撃を受けます。さすがに佐久地区の風向きまで調べていませんでした。体力がどんどん削られて行きます。
13:37@新海三社神社。印象的な山門だったので撮影したのですが、ここは、アニメ映画「君の名は。」に関係しているようです。わざわざ車で来て写真を撮っている人がいて、ちょっと不思議だったのですが、聖地巡礼されていたのですね。
13:43@道はK93に合流ましたが、強い向かい風に泣きが入ります。早く山間部になれ〜と心の中で叫びました。
13:57@ようやく風の影響を受けにくいところまで来ました。ホッ!
K93も渓流沿いの道ですが、こんな感じの滝風の景色が随所にあります。
緩やかな上りが続いていましたが、斜度8%の標識が登場しました。普段であれば、どうとでもなる8%も、ぶどう峠と向かい風で消耗した体にはこたえます。
14:09@なんとか8%区間を乗り切ると雨川ダムでした。
「日本で海から一番遠い地点」をご存知ですか。国土地理院の調査により特定された場所が、ここ長野県佐久市にあります。この橋の先 2.3km の山中なのですが、今日は訪問する時間がありません、残念。
雨川ダムを過ぎると、再び、穏やかな上りですが、ノロノロ進むのがやっとです。
斜度9%の標識が登場しました。標高も1,000mを超えています。これが最後の試練と信じて疲れた脚の回転数を上げました。
14:49@第一隧道に到着。短いトンネルの先に田口峠(標高1,120m)の標識が見えました。田口峠は分水嶺、通常であれば、このトンネルが県境なのですが、歴史的経緯から県境はここよりさらに東に位置しています。
雲が多く何も見えません。そんなことよりも、とにかく休憩です。休憩しているとバイクが頻繁に通りますが、この峠で停車するバイクは皆無でした。
西上州の峠に興味を持ち始めた頃、地図上に感動もののグネグネ道を発見しました。それがK93、そして田口峠でした。佐久周辺の山道のカーブには番号がふられています。田口峠直近のカーブ番号は「93」でしたので、県境までに93のカーブが存在することを示しています。
地図で見た通りのグネグネ道でした。距離10km、平均斜度7%弱ですので、ヒルクライムとしては、そんなには厳しくはありません。
15:25@第1号カーブまで下ってきました。途中に「狭岩峡」と言う観光スポットがあったのですが、どこが観光ポイントなのか、さっぱりわかりませんでした。
特徴的な大きな木造家屋の馬坂集落。長野県佐久市ですが、どう考えても群馬県南牧村へのアクセスの方が良さそうです。
15:36@県道108号線との分岐、南牧村観応です。御荷鉾スーパー林道入口のすぐそばでした。
15:59@ようやく最後の県道45号線に到達。時間的にも体力的にも塩ノ沢峠は無理です。湯の沢トンネルまで辿り着くことに、全力を傾けるしかありません。
信号が青に変わると同時にスタートしましたが、工事区間の途中で対向車が来てしまいました。それくらいスピードが出ていません。
16:22@最後の力を振り絞り、旧道との分岐点まで上って来ました。コース作成時には、このポイントに15:00までに到達すれば塩ノ沢峠アタック決行!と考えていたのですが、ほとんど妄想でした。現実は、ここで力尽き、座り込んで休憩しました。
16:50@適宜休憩しながら、ついに湯の沢トンネルに到達しました。
南牧村と上野村を繋ぐトンネルの全長は、3,325m。過去に私が通過したトンネルよりも圧倒的な長さです。交通量は多くありませんが、3分置きに2、3台の車がやって来ます。平成16年開通の比較的新しいトンネルなので道幅はしっかり確保されていますが、トンネル嫌いの私にとっては脅威であることに変わりはありません。
16:56@ライトを点灯、覚悟を決めて突入しました。南牧村側からは軽い上りで、とにかくペダルを回し続けます。
17:06@ほぼ中間点です。50m先で上野村となります。
17:18@トンネルを抜けると、かなり薄暗くなっていました。後は、道の駅まで一気にダウンヒルです。
17:44@暗くなる前に道の駅に到着。
私には少しオーバースペックなコースでしたが、見所、走り所が満載、楽しい1日でした。
走行距離:106.7km、獲得標高:1,823m、消費エネルギー:2,460kcal