天空散歩パートII:高山の花を楽しみながら標高2,000mの湿原を歩く
せっかくの三連休ですが、私の体力を大きく上回る猛暑です。とにかく標高の高い所に行くことしか考えられませんでした。自転車で行くことのできる標高2,000mオーバーのコースというのがありますが、まだ未体験のルートが四箇所あります。
- コマクサ峠(2,040m)
- 大河原峠(2,093m)
- 御嶽山 田の原(2,180m)
- 富士あざみライン(須走口五合目1,960m)
これをクリアするのも私の自転車ライフの大きな目標、今回は、コマクサ峠にチャレンジして、池の平湿原を散策してきました。
ゴールは、標高2,000mですが、スタート地点は標高1,000m、この猛暑では AM10:00 には 30℃ になりかねません。今回も、涼しいうちに標高を稼ぐ、先行逃げ切り戦術で対処します。早朝? 2:45 に自宅を出発しました。今回は、群馬県嬬恋村からコマクサ峠にアプローチします。
連休ですがこの時間帯であれば道は空いています。5:00@甘楽PAで休憩。まるで夕方のような日の出です。
碓氷軽井沢ICで上信越道を降りて、嬬恋村を目指します。軽井沢周辺で今日の食料を調達をする計画だったのですが、ここで大きな問題に直面しました。
コンビニが、まだオープンしていません!
この辺りのコンビニの営業開始時間は6:00からのようで、どこもまだ開店準備中でした。北軽井沢まで進んだところで、ようやく6:00となり、無事に食料と飲料の調達完了です。
7:00@今日のベースの嬬恋村運動公園をスタートしました。気温は21℃、超快適です。スタート地点の標高は940m付近ですので、コマクサ峠まで高度差1,100mのヒルクライムです。
まずは、嬬恋パノラマラインを目指して県道235号線をゆっくり上ります。
7:26@パノラマライン南コース入口(標高1,100m)に到着。パノラマラインの案内標識が3つもありますので、間違えようがありません。パノラマラインを走るのは6年ぶり二回目です。「間違えようがない」と偉そうなことを言っていますが、実は6年前、この南コースでコースミスを犯し、キャベツ畑の中を彷徨い、最終的には群馬長野県境の鳥居峠に到達したという大ポカをやらかしています。
キャベツ畑と浅間山というのが、この高原道路のシンボル。キャベツ畑のど真中を走るので日陰はありません。アップダウンも多いので、夏の日中は体力の消耗が半端ないと思われます。狙い通り、この時間帯であれば、まだ気持ち良く走れました。
「パノラマライン」といかにも観光道路の名前ですが、元々は浅間広域農道、この道の主役はこの車両です。農作業に日曜日は関係ないようで、トラクターだけでなく農業用の車両が行き交います。
8:00@村道鳥居峠車坂線との交差点(標高1,200m)。今日は、ここを左折して、村道鳥居峠車坂線で、12km先の車坂峠(標高1,973m)を目指します。
左折すると避暑地のようなカラマツ並木でした。
雰囲気が良かったのは最初だけで、すぐに平均斜度8%の上り坂となります。しかし、森の中の道だったので、暑さは気になりません。
8:29@未舗装路登場。そうなんです。写真の通り村道鳥居峠車坂線はダートなんです。
事前の情報収集で、このダートの写真を何枚か見ましたが、丹沢のようなガレガレというわけではなく、走りやすそうな路面に見えました。タイヤの選択を迷いましたが、グラベルキングSKを使わずとも走れそうです。仮にガレガレ区間が存在しても、押せばなんとかなるだろうと、タイヤはグランプリ4S-28Cでこの峠にチャレンジすることにしました。しかし、「この道を自転車で下りました」というブログ記事はあるものの、「上りました」という記事は皆無です。なんでだろう?と少し気になったのですが、タイヤを交換するのは面倒だったので目を瞑りました。 (^^;;
未舗装区間を50m走った時点で、
こりゃ、まずい!
と気付きます。
このダートには細かい砂利(砕かれた石)が大量にばらまかれています。砂利が堆積したところでは、慎重にペダリングを行わないと、リアがズリズリズリっと流れます。ガレガレの林道でもリアが流れますが、流される量がこれまでに比べて大きいのです。どうやら砂利のサイズが小さいので、滑り始めると止まらないようです。これまでに経験したことのない路面状況でした。この路面を攻めるにはグラベルキングSKのようなブロックタイヤが必要でした。
8:41@ヨロヨロしながら1kmほど進むと斜度が一段階アップしました。必然的にペダルを踏み込んだところ、
ズ、ズ、ズ、ズ、ズテーン!!!!
見事にリヤが流れ、なすすべなく転けました。これまで、危機一髪で転倒を免れてきましたが、ついに起こるべきことが起こりました。
倒れた自転車を起こしながら、どうするかを考えます。このままの進めば、また転けるのは必然です。今回はリアディレーラも無事でしたが、次は致命的なダメージを負うかもしれません。押し歩きするとしても、車坂峠までまだ10kmはありそうです。
このルートは、グラベルキングで再挑戦しましょう。
撤 退 !
標高1,394m地点でした。そうと決めたらささっと戻ろうと下り始めたのですが、下りもズリズリで、ドキドキハラハラでした。
そもそも、地蔵峠から湯の丸高峰林道でアクセスするのが、嬬恋村からコマクサ峠への標準ルートです。はじめから、こちらを選択するべきでした。
9:16@再びパノラマラインを走って県道96号線(東御嬬恋線)との交差点に出ました。ここを左折して地蔵峠へ向かいます。200mの高度ロスと1時間のタイムロスだけでなく、気温がグンと上昇したのが痛いです。
鹿沢温泉を抜けると湯尻川沿いの林間の道となりました。木陰を走っている分には快適なんですが、、、
9:34@標高1,400mを突破し、失った高度を取り戻しました。気づけば、スタートして2時間以上経過しています。そろそろ休まねばと休憩場所を探していると、湯尻川に降りる道を発見しました。
涼しい渓流べりで腰を下ろし、エネルギー補給。今回、暑さ対策にクラーバックを使ってみました。おにぎりも傷みやすいので塩むすびと梅ぼしをチョイスしています。
休憩してリフレッシュと行きたいところでしたが、ここからが辛かったです。斜度もジワジワとアップしてきましたが、何と言っても暑さが堪えました。
10:12@鹿沢温泉紅葉館の先に「第百番 千手観音」がありました。番号付きのお地蔵様ということは、地蔵峠にあるだろうお地蔵さんがNo.1とすると、、、
え〜、まだ99体もあるの〜〜〜
50m毎に1体あるとしても、5kmはあります。一気に疲れが吹き出しました。
お地蔵さんの隣にある案内板には、
長野県東御市新張から地蔵峠を越えて、嬬恋村田代の鹿沢温泉までの道沿いに、江戸時代から明治にかけて、一丁おきに百体の石造観音仏が建てられ、「丁石百体観音像」と呼ばれています。
と書いてありましたが、全然読んでいませんでした。とにかく先へ進むしかありません。長期戦覚悟で、日陰を求めて走ります。
10:33@林道桟敷山線の分岐(標高1,600m)を過ぎると、道は素晴らしい高原スカイラインへと変身しました。でもね、
日陰がどこにもないんです!!
九十九折れの道を上った所でようやく見つけた貴重な木陰で一息つきました。
次の写真は、帰路に撮影したものですが、本来は素晴らしい高原の快走路なんですよね。
10:51@宿泊施設もあるスキー場のリフト乗り場に到着。木陰のベンチを見つけて、ホット一息つきました。
自動販売機があり、冷たい水をゲットできたので、予備に持っていた水を首筋にジャバジャバかけました。
超気持ちいい〜
生き返りました。実は、ここが湯の丸高原(1,732m)であり、地蔵峠なのですが、私は全く気づいていません。
11:03@お地蔵さんの番号をチェックすると、まだ八十番です。先は長いなと思いながら出発しました。
アレレ、道が急激に下り始めます。案内標識にも、東御、小諸、上田の文字が並んでいます。100mほど進んで、これはおかしいとGoogleマップをチェックしますが、圏外です。コースミスして痛手を負う前に誰かに聞こうと、スキー場に引き返しました。
スキー場へ戻ると、ビジターセンター横に「池の平4km」と書かれた大きな標識と、先へと続く1.5車線の道がありました。5分前にちょっとだけ首を左へ振っていれば発見できたはずですが、疲れて視野が狭くなっていたようです。そして、ようやくこの場所が地蔵峠であることを認識しました。ここが地蔵峠ということは、この1.5車線が湯の丸高峰林道です。残り4km、なんとかなりそうな気がしてきました。
11:25@標高1,700mを越え、さすがと暑さが少しソフトになってきましたが、湯の丸高峰林道は、そう甘くありませんでした。平均斜度8%の上りが延々と続きます。交通量は多くありませんが、時々観光バスも通ります。
11:37@標高1,900m地点の地蔵峠を見下ろすリフト乗り場。案内板によると、正面に見える山が、湯の丸山(2,105m)です。
11:53@ガーミンの表示は、ついに標高2,000m。ゴールは近いはずですが、一息入れなければ進めませんでした。
12:02@ヘロヘロの状態で、コマクサ峠(2,040m)に到着しました。連休ですので、そこそこの人出です。
爽やかな風の吹く木陰のベンチで再び水浴びすると、一気にクールダウンできました。残りのおにぎりと菓子パンでエネルギーを充填し、天空散歩の準備完了です。
12:21@案内図を確認し、池の平湿原へ向け出発。90分ぐらいの周回コースです。
コマクサ峠から5分ほど降ると、広々した草原に出ました。
遊歩道を時計回りに開放口へ向かいます。標高2,000m、これだけの日差しを浴びても暑くはありません。高山植物の写真を撮りながら、暢んびり歩きました。
開放口からは、小諸、東御方面が望めますが、霞んでいます。
湿原を半周してから、三方ヶ峰へ登ります。
13:01@稜線に出ると、ご覧のような柵が設けられていました。高山植物を保護するために柵です。
ここに高山植物の女王コマクサの群落があるはずなのですが、、、
目一杯望遠にして、トリミングをかけて、ようやくこの大きさです。すでに、ピークを過ぎてしまった感じがありますが、初めて実物を見ることができました。
13:06@三方ヶ峰頂上です。
頂上からの眺めは、先ほどの開放口の数倍でした。楽な登山ですので、ここまで来るのはお勧めです。
二週前に訪れた美ヶ原がうっすらと見えます。
北アルプスのシルエット、3,000m級の山並みは壮観でした。
13:20@三方ヶ峰から湿原へ降ると、鏡池です。水面に雲が写り込んだ絵を撮りたかったですが、そう簡単には行きません。
池の平湿原では、アヤメと菖蒲を見ることができましたが、現地では違いが全く分からず撮影していました。帰宅して色々調べてようやく違いを理解できました。
そもそも、菖蒲(ショウブ科)と花菖蒲(アヤメ科)は、別の花で、池の平で咲いていたのは、ノハナショウブでした。さらに、アヤメは日当たりの良い乾いたところに生育、ショウブは湿地に生育するそうです。確かに、乾いた開放口にアヤメの群落があり、鏡池付近にノハナショウブの群落がありました。さらに花弁の根元の模様も両者で異なります。
湯の丸高峰林道は、この先車坂峠まで続いています。そして、コマクサ峠、車坂峠間は、有名な良質未舗装路です。本来であれば、この区間を走らない理由はないのですが、車坂峠から嬬恋村へ戻るには、あの村道鳥居峠車坂線をダウンヒルしなければなりません。しかし、今日のタイヤでは、このダウンヒルが危険なことを体験済みです。それでは車坂峠を往復できるかと言うと、とてもそんな体力、気力は残っていません。村道鳥居峠車坂線にリベンジに来ることを誓い、13:47@コマクサ峠を後にしました。
地蔵峠まで下り、ようやく見つけた記念撮影のポイントが、この場所でした。
高原の売店で購入したソフトクリームを食べて一息入れ、14:15@地蔵峠を出発。15:00には、自転車を車に積み込んでいましたから、やはり下りは早いです。
今回の遠征も計画通りには進みませんでしたが、無事生還&十分すぎるほど楽しめたので、結果オーライとしましょう。
走行距離:54.3km、獲得標高;1,549m、消費エネルギー:1,927kcal
番外編:池の平湿原の花々