グラベルデビューはピンチの連続:戸川林道、表丹沢林道、菩提峠、ヤビツ峠
今週は、伊勢原周辺の舗装林道で鍛錬する計画だったのですが、天気予報では翌週火曜日に雪マーク点灯。ここで雪に降られると、またしばらく山には入れなくなり、グラベルデビューは当分お預けになります。未知のグラベルワールドを一日でも早く体験したい気持ちを抑えきれなくなってきて、準備不足は承知の上でデビュー戦を決行しました。
7:00@本日の目的地は丹沢の林道、暖かい時間帯に山に突入することを狙ってこの時間に出発です。まずは、その林道起点となる秦野戸川公園を目指します。戦いに破れ、長距離の押し歩きになるケースも想定し、保険としてトレランシューズを詰め込んだバックパックを背負いました。
8:20@境川遊水地公園でトイレ休憩。寒いですが、晴れ、微風というこのシーズンとしてはベストコンディションです。
9:24@小田原厚木道路の側道を走っていると富士山が綺麗に見えてきます。平塚IC付近は、視線を遮る電線なしの貴重なビューポイントでした。
9:58@秦野市街に入り水無川を遡っていきます。しばらく雨が降っていないので、名前通りの水が無い、流れていない区間がところどころにありました。
以前から、渋沢側からヤビツ峠を目指す林道ルートがいくつか存在することは知っていました。その中でも一番ポピュラーなのが、戸川林道から表丹沢林道というルートです。ただ、戸川林道が未舗装路のため、無理、無理と指を咥えていたのですが、いよいよチャレンジします。
水無川沿いのコンビニで早めの昼食を済ませ準備完了。戸川駐在所前の交差点を左折するとヒルクライムが始まりました。
10:55@秦野戸川公園諏訪丸入口に到着。自転車ブログによく登場する景色です。
風の吊橋の下を通過します。
11:02@滝沢園キャンプ場の入口を過ぎると、すぐに戸川林道起点でした。林道ゲートがあると思い込んでいたのですが、気付いた時には未舗装路に突入していました。心の準備が全くできていません。そして写真のカーブを曲がると、最初のピンチに襲われました。
カーブの先から緩い上り坂がスタート、同時に石ころだらけの路面となりました。ペダルを強く踏み込むと後輪が空転します。さらに時々、後輪ごとズリッと左右に流されます。砂利道を走るのってこんなに難しいのか!と思い知らされました。というか、グラベルを走るテクニックについてなにも事前学習していない大馬鹿ものでした。もはやいつ転倒してもおかしくない状況でしたが、奇跡的にこの区間をクリアし、道が少し平坦になったところでなんとかビィンディングを外し着地することができました。
出だしからこの有様では先が思いやられます。撤退の二文字が頭を過りましたが、危険を察知したらすぐに押し歩きに切り替える作戦で、もう少し前進して見ることにしました。とにかく砂利の少ない場所を慎重に選んでゆっくりと進みます。
11:10@危険な匂いが漂ってきました。
出だしの部分は、左側を通ればなんとかなりそうですが、その先で二進も三進もいかなくなりそうです。潔く押し歩きでここはクリアしました。
悪戦苦闘するうちに、少しコツがつかめて来ました。とにかく石ころの少ないルートを選択して、ゆっくり丁寧にペダリングすることが基本です。下の写真のように地面が見えているところは比較的安全です。
今回の装備、タイヤは、コンチネンタル グランプリ4シーズンの28Cです。完全なスリックではなく微妙なトレッドパターンがあります。商品説明には、
過酷な路面や雨天でも性能を発揮するタイヤで、ハイペースの長距離ライドや四季を通じたロードレースに適しています。トレッドの下の 2層の Vectran ブレーカーベルトにより、市場で最高水準の耐パンク性と耐切創性を実現しました。
と書いてあるのですが、私は「過酷な路面」の意味を拡大解釈しすぎたようです。この路面を安全に進むには、ブロックタイヤで低圧セッティングが必要ですね。
路面を睨みつけ、慎重にルートを選んで進みます。慣れてくると、これはこれで楽しくなってきます。
11:19@いつのまにか竜神の泉に到着。全国名水百選の一つだそうです。ドリンクボトルにこの水を補給し道中で飲みましたが、確かに美味しい水でした。
再び、砂利の浮いた上り坂。迷わず、押して進みます。判断が早くなってきました。この場面で、もう一つ難しかったのが、停車状態からのリスタートです。勢いよく踏み込んでしまうと、後輪が空転してしまいます。3回ほどチャレンジして、ようやく発進できました。
周りの景色を見る余裕が少し出てきました。
なんだか、凄〜い山奥にいるぞ〜!!
いつものヤビツ峠からほんの1、2kmの場所とは思えません、別世界です。
11:45@またしても想定外の路面が登場します。
グラベルロードのプロモーションビデオだとこのくらいの路面に豪快に突っ込んでいくのですが、今日のタイヤでは、スリップするのが明白です。大人しく路肩の乾いた部分を押して回避しました。
神奈川は、しばらく雨が降っていないので、今日の路面は全面ドライと思っていました。しかし、この区間は右側の岩肌から水が幾筋も染み出しているので、天気によらず常にウェットな状態になります。これまでの経験が通用しない世界に踏み込んだようです。判断基準をいろいろ修正していかねばなりません。
ウェット区間を通過すると、久しぶりの舗装路が出現。林道マニアの方からは、中途半端な舗装は目の敵にされますが、今日の私にとっては救いの神です。50mほどの短い区間でしたが、舗装路の有難味をひしひしと感じて進みました。
11:52@表丹沢林道起点に到着。写真の右下の道をやって来ました。戸川林道はこの先の作治小屋まで続いていますが、本日はここでお別れです。ちなみに、戸川林道ですれ違ったのは、車1台、バイク3台のグループ、登山者3人でした。もちろんチャリは皆無です。
表丹沢林道は、舗装路です。未舗装区間をなんとか無事に通過できたとホッとします。
11:59@カーブを曲がると前方に黒い路面が見えてきました。
またウェットな路面か
でも今度は舗装路だから問題なしだぜ!
と思ったのですが、、、
ズリ、ズリリ、、、
・・・
濡れた路面ではなく、凍った路面に突っ込んでしまいました。ブラックアイスバーンというやつでしょうか。もう、パニック状態、今度こそ転倒を覚悟しました。どうせ転けるのならと、一か八かでビンディングのリリースにトライします。
この日二度目の奇跡が起こり、なんとか左足が着地。氷の上で滑りながらもギリギリ立ち止まることができました。冬場の林道ですから、凍結していることを想定しているべきでした。グラベルデビューを、上りルートにするか、下りルートにするかで迷ったのですが、ここに下りで突っ込んでいたら と思うとぞっとします。「黒い路面は凍結注意!」と頭に叩き込んで出発します。
このあたりから斜度10%、11%という上りがしばらく続きました。いつもなら、辛い、苦しいとギャーギャー騒ぐところですが、今日ここまでに遭遇したピンチの数々に比べれば、10%、11%は、些細なことに感じられ、淡々と上って行きました。
道は、沢筋を幾つか超えて行きます。久しぶりの林道独占状態を満喫しました。
北側斜面の氷柱。完全に凍ってくれているので、路面に水が流れ出していません。
気がつけば、遥か下に道が見えます。一気に高度を稼いだようです。
12:22@ゲートに到着。写真は、ゲート通過後に撮影しています。
すぐに次のゲートが見えます。この地点で右方向から荻山林道が合流しています。
2つ目のゲートを通過すると道は緩やかになりました。北側斜面にはまだ雪が残っていましたが、幸いなことに路面はドライです。
進行方向の雲行きが怪しくなってきたので停車して写真を撮っていると、頭上でトンビが旋回していることに気づきます。でも、何か変です???
よくよく見れば、トンビではなくハンググライダーでした。菜の花台で飛んでいるのを見かけたことがあります。その時は、小さな点にしか見えませんでしたが、このあたりを飛んでたんですね。
12:50@菩提林道起点が見えてきました。左へ行けば菩提峠、右へ行けばいつものヤビツ峠への道の終盤に出ます。今日は菩提峠を目指しますが、道がおかしな角度を示しています。事前の情報収集で、菩提峠までは斜度14%という情報を入手していたので、覚悟はできていました。ギアをファイナルローに落として登り始めます。
この斜度ですので、当然の如くカーブは大外を回って進入したのですが、前方を残雪に塞がれ、万事休すとなりました。行けそうな気もしましたが、先ほど怖い思いをしたので、とても進む気になれず、自転車を降ります。
この地点から斜度はどんどんアップして、一番厳しいところは斜度20%となりました。先ほどのカーブで押し歩きを選択して正解だったようです。強烈な上りで、表丹沢林道との高低差があっという間に開きます。こんな激坂がヤビツのすぐ隣にあったとは、ビックリです。
13:04@菩提峠に到着。ヤビツ峠は全く眺望がありませんが、菩提峠は視界が開けていて、小田原、真鶴半島あたりがはっきり確認できます。
菩提峠は丹沢登山の起点の一つで、裏ヤビツの護摩屋敷から車でアクセスできます。夏場、この駐車場は、早朝から満車となるそうです。
頭上を雲に塞がれ、日差しがなく、寒くなってきましたので、早々に護摩屋敷へ向けてダウンヒルしました。この裏ヤビツ側の道もかなりの斜度です。北側斜面なので凍結に注意しながら慎重に下りました。
護摩屋敷からヤビツ峠への道はドライですが、周囲には雪が残っています。
13:23@雪の残るヤビツ峠に到着。とにかく寒いので、長居は無用とすぐに出発です。
菜の花台手前の定点ポイント。雲はありますが、富士山がはっきり見えます。
13:35@菜の花台には日差しがあり、ようやく腰を下ろして休憩することができました。気温が低いためか、昼を過ぎても視界が良好です。江ノ島、三浦半島、そして、房総半島まで見えました。
名古木までのダウンヒルは、寒さとの戦いでした。山はもう少し暖かくなってからの方が正解のようです。
ピンチの連続のグラベルデビューでしたが、貴重な経験をすることができました。5月の本格シーズンに向けて、やるべきことが満載です。
走行距離:131.7km、獲得標高:1,428m、消費エネルギー:2,055kcal