標高差1,900mを試してみました
週末に晴れてくれるのは嬉しいですが、土曜日の暑さにはビビりました。迂闊に走ると一発で病院送りとなりそうです。この気候も一ヶ月後であれば、真夏の早朝ライドに切り替えようと諦めがつきますが、まだまだ気持の整理が出来ていません。冬の寒さはウェアで防御、夏の暑さは高度で回避と、自宅から最も手軽にアクセスできる高地へ向かうことになりました。
横浜在住の私が最も容易にアクセスできる高地、それも2,000mオーバーとなると富士山です。最寄り駅のJR根岸から御殿場までは所要時間2時間弱です。3時間もかかる奥多摩よりも遥かに近いのです。
輪行も今年8回目となり、だいぶ手慣れてきました。余裕をもって自宅を出発したため根岸のホームで20分電車を待ちます。早朝でも東海道線は、そこそこの乗車率で座ることはかないません。さすがと国府津からの御殿場線はガラガラで、御殿場までウトウトできました。
御殿場駅で自転車を組み立て、よけいな荷物はコインロッカーへ預けます。高地を目指す上で、この身軽さは重要です。御殿場の標高がおよそ500m、富士山五合目が2,400mですから、標高差1,900m。過去に河口湖から富士スバルラインを登ったことがありますが、その標高差は1,500m。これを登りきれれば自己記録更新になります。
8:09、33km先の富士山五合目富士宮口へ向け出発しました。曇り空ですが、富士山の全景が見えます。天気は下り坂ですので、何時まで見えるか気になります。御殿場市街は蒸し暑く、夏用のサイクルジャージに長袖のアンダーでは暑いです。
緩い上りの県道23号線を3kmほど進むと、自衛隊の滝が原駐屯地に出ました。この駐屯地の手前にセブンイレブンがあり、ラストコンビニです。ルートラボには表示されていません。この先、自販機もありませんので要注意です。
駐屯地を通過すると、道は演習場の横を淡々と登って行きます。「第一戦闘射場」とか「小火器演習場」とかの看板が出てきます。斜度も4%、5%と上がって行き、富士スカイラインの起点(水ヶ塚まで10km)を通過すると本格的な上りがスタートしました。
ルートラボで平均斜度が7%であることを調査してありましたが、実際の斜度は、6%から10%の間で変化します。こんな登りが4kmほど続きました。ずっとシッティングでは、お尻が痛くなってきますのでダンシングを交えながら進みます。そして何度かダンシングするうちに気づきました。10%のところで頑張ってダンシングするよりも、7%あたりの斜度で余裕を持ってダンシングするほうがスムーズに登り続けられることを。当然と言えば当然のことですが、この気づきは大きかったです。今までは無計画の苦しくなったらダンシングでしたが、戦略的ダンシングを行うことで限界を少し伸ばせた気がします。
馬返し(登山駅伝の中継点)の標識で標高1,000mを突破したことに気づきます。そういえば、暑くありません。風が吹くと汗が冷たく感じられます。
林間コースを黙々と登り続けて5km、このカーブで久々に富士山を拝めました。
9:48、御殿場口との分岐点に到着。この案内図によると新五合目の標高は1,400mです。となると富士山登山道としては、最も長く厳しいルートです。
太郎坊洞門を抜けると、道は水平移動を含むルートに変化。下りもありますので少しスピードアップします。
10:16、五合目アタックのベースとなる水ヶ塚公園駐車場(1,450mくらい)に到着。宝永火口を真正面から望む立地で本日一番の眺めだったのですが、問題発生です。売店が立て替え工事で休業中、かつ、自動販売機も見当たりません。ここで水を補給するプランが崩れました。曇り空のおかげでボトルには半分程水が残っていましたが、晴れていたらこの先かなり厳しかったと思われます。
水ヶ塚公園で富士山を眺めながらエナジーゼリーと羊羹を食べ30分休憩。アタックへ向けての力を蓄えます。
10:41、料金所の跡を通過し、距離13km、標高差900mの五合目アタックを開始しました。温度計の表示は気温18℃です。
二合目、1,600mを通過。まだ、余裕があります。
平均斜度7%の登りが延々と続きます。木々に阻まれて山頂がどこにあるのか、さっぱりわかりません。あんなに巨大なものが見えないのが不思議です。
標高が上がるにつれ道路脇の森は、原始の森の雰囲気に変化して行きます。まだ交通規制を行っていないのでかなりの往来を覚悟していましたが、予想に反して交通量は少なく嬉しい誤算でした。何より観光バスがほとんど通らず登りに専念できました。
残り5.2kmの地点にあった七曲り駐車場(標高1,900m)。ベンチとテーブルがあります。だいぶ疲れてきたので、休憩しようか迷いながら通り過ぎてしまいました。
三合目は、標高2,000mでした。
1km単位で大きな看板が残りを知らせてくれます。斜度に大きな変化はありませんが、脚が限界に近づき目に見えてスピードが落ちてきました。何より尻の痛みの誤摩化しが効かなくなってきました。
標高2,300mの四合目です。このカーブを回ったあたりが斜度10%、時速が5km/hまで落ちて少しよろつきます。
写真のコーナーを曲がると残り距離の標識のゼロ地点です。しかし、このラスト100mが再び斜度10%、楽にはゴールさせてくれません。おまけにカーブを曲がるとレストハウスへ続く追加の登りが現れます。おまけの200mを意地で登り切り、12:30に五合目に到着しました。
手すりにつかまりながら階段を20段ほど上がって記念撮影。ここまで自転車を担ぎ上げる余力は残っていませんでした。
頂上方面はガスってきました。気温も12℃、涼しいではなく寒いです。
早々にレストハウスに避難して昼食にします。ここのレストハウスは斜面に建設されているため、入り口は3階で食堂は1階という構造です。動かない脚で階段を下りるのに難儀しました。冷えた体を月見そば800円で暖め、ダウンヒルの集中力を回復させます。
下りに備えウィンドブレーカーを着込みます。ポイントポイントで停車して写真を撮りながらゆっくり下りましたが、それでも寒いです。久しぶりに鼻水を垂れ流しながらのダウンヒルとなりました。何よりフルフィンガーのグローブが欲しかったです。
上りの際に2台の自転車に追い抜かれ、10台以上の下り自転車とすれ違いましたが、下りでは1台の自転車とも遭遇しませんでした。ひょっとすると私が本日のラスト自転車だったようです。
帰路は一旦富士宮方面へ下り、広域基幹林道富士山麓線で十里木を目指します。この広域基幹林道が驚きでした。林道と名がついていますが綺麗に整備された2車線道路、なにより見通しの良い道です。10km程の区間を気持よく走り抜けられました。
十里木から国道469号線を下って無事に御殿場に到着。16:23の御殿場線で帰路につきました。
今回の標高差1,900mチャレンジで判明した重要なポイントは、
脚の限界より先にケツの限界が来る!
でした。サドルを交換すれば、少しは改善されるのでしょうか?
走行距離:84.4km、獲得標高:2,040m、消費エネルギー:3,140kcal